大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2022年7月16日(土)・8月20日(土)第56・57回「センターの日」——雨と屋根

2022年7月・8月「センターの日」合併号

 8月の「センターの日」はポスターも貼らず、ビラも配布せずに行いました。というのも、新型コロナウイルスに感染して、自宅待機明けのその日が第三土曜日で、準備する時間も体力もなかったからです。
 映画とコーヒーだけの省エネで、なかばアリバイ的実施になりましたが、それでも何人もにお立ち寄りいただいて良かったです。

釜ヶ崎ゆかりの映画

 映画は7月は『当りや大将』(1962年、長門裕之主演)8月は『学生(セイガク)やくざ』(渡瀬恒彦主演、1974年)を選んでみました。『当りや大将』がめちゃくちゃ受けたので、同じように釜ヶ崎ゆかりの作品を続けて選んだのですが、当時の学生運動釜ヶ崎の暴動とを素材にしてた『学生やくざ』はもうひとつで、冒頭の菅原文太のかっこよさだけが印象に残りました(また菅原文太の映画が見たいですね)。

ホットケーキの平和

 7月はかき氷に加えて、ホットケーキを焼いてみました。フードバンクで小麦粉をもらったので、活用策としてやってみました。暑いので炭火焼きはしませんでしたが、ホットケーキはわりと好評でした。

 8月はホットケーキどころか、かき氷もできなかったのですが、「今月もホットケーキやったの!?」と期待の目で見られたので、またやりたいと思います。「肉は争いを生むから良くない。これからはホットケーキだ」との声も聞かれました。

雨と屋根

 9月に入っても、雨が降ったりやんだりといった天気が続きます。最近では天気予報も発達して、インターネットでは1時間ごとの天候の推移まで見ることができますが、これがちょっと目を離すとコロコロ変更されるので、かえって落ち着きません。

 7月、8月の「センターの日」も、ちょうど「センターの日」の時間帯を狙ったように雨の予報でしたが、実際はほとんど降りませんでした。7月は、脚立を流用してブルーシートの屋根をがんばって作りました。雨よけにはならなかったものの、イベントっぽい雰囲気が出たのは楽しかったと思います。

 家を持つこと、定住することを当たり前とする今の社会において、本当に人が生きるために必要なものは何だろうかと考えます。水とか、火とか、トイレなど、いろいろ考えつくなかで、「屋根」というのが一つあるように思えます。水という意味では雨は必要なものですが、雨をさえぎるものがなければ、私たちの生活はとたんに不自由になります。

 飢えとか、凍える冬の寒さなどに比べると目立たないけれど、個人ではなかなか確保しにくくて、しかし絶対的に確保されるべきものが、素朴にあるように思われます。ほかにはどんなものがあるでしょうか。

 

2022年9月1日(木)夜回り・コロナ感染と夏の終わり

 8月の頭に広島に行って、帰ってきたら身体がだるく、PCR検査を受けたら陽性でした。どうすればよいのかを調べ、自宅療養でやりすごすことを選びました。

 ワクチンを3回接種していたおかげか、現在流行しているオミクロン株のBA5とかの特性なのか、猛烈なのどの痛みや、せき、発熱は3、4日もすると収まりました。しかし、37℃弱くらいの熱がなかなか下がりませんでした。それでも、本を読んだり、考えごとをする余裕は戻ってきました。

 10日間の自宅待機が終わり、ようやく外出できるようになってからも倦怠感があったり、のど周りや気管の痛みがなかなかとれません。回復具合を気にしていると、気づけば、もう夏が終わりかけていました。

 今のところ治療薬もない感染症でも、一度かかってみると、自分のなかに判断基準ができます。病気はもちろん怖いものですが、それはどうあろうと変わらないことです。社会がこれをどう受け止めるかのほうが、不透明でとらえどころがないように感じられています。私たちが何かを語りうるようになるのは、常に手遅れなのです。

2022年8月4日(木)夜回り・身分証明書を受け取るための身分証明書

 6月のビラに書いた臨時給付金をようやく受け取ることができました。しかし、すんなりいったわけではありませんでした。決定通知書が再送されてくるのを待って、今度は受け取り日を逃さないように気をつけていればいいと思っていたら、あいりんシェルターに置かせてもらっていた住民票が職権消除されていたため、すでに郵便物が届かなくなっていることが途中でわかりました。

 ところが、ある日、書き留めの不在票が届いているという通知が張り出されているのを見つけました。これはもしやと、ダメもとですぐさま取りに行きました。不在票を受け取って郵便局へ行ったところ、身分証明書がないと渡せないと言います。仕方ないので、シェルターに再配達してもらうようお願いしました。翌日、受け取ってみると、はたして決定通知書で、今度は指定された受け取り日時にまにあいそうです。

 後日、区役所の7階の受け取り窓口に行ったところ、身分証明書がないなら、1階で住民票を取ってきてくれと言われました。不在票が留め置かれたのは、もしかすると住民票はまだ消されていないからなのではと淡い望みをいだいて手続きをしましたが、やはりダメでした。ただ、最前までシェルターに置かれていたことは確認できたので、同意書があれば、すぐに住民票を復旧させることができるといいます。そこでまたシェルターに行き、また同意書を出してもらいました。三度区役所に行き、異動届を出し、住民票を発行してもらいました。住民票を持って7階に行くと、ようやく10万円を受け取ることができました。とても疲れました。

 あまりに大変だったので、住民票があるうちにマイナンバーカードを作ってしまおうと考えました。書類を作成して提出すれば、区役所でマイナンバーカードを受け取れると聞きました。ところが、そのマイナンバーカードを受け取るときには、身分証明書がいるそうです。身分証明書がないからマイナンバーカードが欲しいのに、マイナンバーカードを受けてるためには身分証明書が必要なのです。私たちの生活はこんな無責任なあやうい仕組みの上に成り立ってものにすぎないのかと驚かされました。

 次回寄り合いは8/21(日)を予定しています。そうめんを用意します。

2022年7月21日(木)夜回り・第三土曜日は「センターの日」

 毎月第三土曜日の午前1時から午後4時頃まで、釜ヶ崎のセンターの北西で、「センターの日」という寄り合いをやっています。今月の「センターの日」は7/16でした。雨の予報で、そんなに人は集まらないかと思ったのですが、たいした雨も降らず盛会でした。

 今月に続いて、来月もかき氷をする予定です。フードバンクからいただいた金時豆を使った抹茶金時が一番人気でした。フードバンクからいただいた薄力粉も、ホットケーキに利用しました。少しずつ出来上がるものを待ちつつ、みんなで過ごす時間というのが、一番楽しい時間かもしれません。長門裕之主演で釜ヶ崎を舞台とした「当りや大将」という1962年の映画を上映したところ、これも大ウケでした。

 常連さんから「あんたらもボランティアで毎月大変やな」と言われましたが、考えてみると「センターの日」というのは、自分たちが開催しているようで、実は自分たちも参加しているのだなと思いました。すでにセンターという場があるから、勝手に「センターの日」といって集まってやっているだけで、「センターの日」はいつもセンターにあるのです。

 よろずの活動も、野宿する仲間がいるから、あるだけで、私たちは、その都度何かに参加しているのだと思います。何に参加しているのか、その意味に気づくことで私たちの生活や社会を変えていくことができます。

 時節柄、熱中症にお気をつけください。

第56回「センターの日」のお知らせ

「センターの日」とは

 労働者の街として知られる大阪の釜ヶ崎は今、大きな再開発の波にさらされています。2012年に始まった西成特区構想による「まちづくり」も進められています。貧困層の追い出しをともなうジェントリフィケーションであるとの批判もあります。

 地域住民と行政が協同して地域を良くしようと努力しているとの主張がある一方、これまでと変わらない強制排除が幾度となく繰り返されています。真実はいったいどこにあるのでしょうか?

 労働者の街である釜ヶ崎に、あいりん総合センターという施設があります。センターは釜ヶ崎の中核とも言える場所です。このセンターの建て替え、閉鎖、仮移転がまちづくりの会議の中で決定しました。

 釜ヶ崎で何が起きているのか、私たちは何かできることはないのか、私たちは何を知るべきなのか。一から考えるために、私たちは2017年11月から月に一回、第三土曜日に釜ヶ崎のセンターで労働者の声を聞く取り組み、「センターの日」をはじめました。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター北西側の団結小屋周辺か高架下の駐輪場付近で、2022年7月16日(土)13時から16時に実施します(基本的に毎月第三土曜日)。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回 第23回 第24回(中止) 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回 第35回 第36回 第37回 第38回 第39回 第40回 第41回 第42回 第43回 第44回 第45回 第46回 第47回 第48回 第49回 第50回 第52回 第53回 第54回 第55回 

カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力下さい。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

2022年7月16日(土)第56回「センターの日」——毎月の「センターの日」の一日

第55回「センターの日」のあらまし

 毎回、A3用紙に拡大コピーしたポスターをセンター周辺に貼ってまわっています。小さな洋犬2匹を散歩させている通りすがりのかたから、「何を貼っとるんや」と声をかけられました。センターを利用する労働者の声を聞くために月に一回、寄り合いをやっているのだと話すと、「もっとほかのことをせんとあかん、ゴミの片付けをせぇや」というようなことを言われました。ちょうどゴミの片付けの報告をした時のポスターがそばにあったので、「4月にみんなで片付けたんですよ」とお話ししました。「(役所は)どうせ解体するから、一緒にやればええと思っとるんかな」、「暮らしてる人もいるし、散歩して通りすがる人も嫌ですよね」、「そうやで」というやりとりをしました。最後には「がんばってや!」と笑って去って行かれました。

フードバンクからのいただきもの

 前回に引き続き、フードバンクのからのいただきもの、なかでも野菜類をあてにしていたのですが、時節柄、使いきれずに傷んでしまうので、野菜は断ったのだということでした。それでもいただいたものを活用して、今回も炊き込みご飯を仕込みました。

通りすがりの人びと

 炊き込みご飯の仕込みをしている時に、カートを引いた60歳くらいの女性が、これは何をやっているのかと訊ねてこられました。先月、いろいろ手伝ってくれたかたが、「今日は「センターの日」だよね?」「時間になったら、来るよ」と声をかけてくれました。ほかにも「初めてだけど、焼肉やるのかな?」とか、「第三土曜日のやつだよね?」と集まってきてくれました。

 人が少ない時に立ち寄ってくれた人が、何度か来たことがあると話してくれました。『トラック野郎』をやっていた時が初めてで、その後も2、3回、映画を観ているとのことでした。今は三徳に入っているから、参加するのは遠慮するとおっしゃっていました。「センターの日」に遠慮は無用ですが、立ち寄ってそんな話をしてくれるのはうれしかったです。

映画

 映画は『北国の帝王』という1930年代のアメリカの渡り労働者が活躍するものを選んだのですが、吹き替えが途中で切れてしまって、ふつうに観ることができず、申しわけありませんでした。次からは、釜ヶ崎が舞台となっている映画を何本か観ていこうかと考えています。

中島敏フォトアーカイブ

 中島敏フォトアーカイブから厳選した写真も引き続き展示しました。1970年代の露店や、路上で寝ている労働者の姿が写っているものを選びました。「昔から、路上で寝ている人はいたんだなって、思いました」と話すと、「昔からおったよ!」と当時の話を聞かせてもらえました。三角公園の周りには写真に写っているより、もっとたくさん人がいたそうです。若い人も多かったし、露店ももっと活気があったとのこと。この頃もやはり、泥棒市的な怪しさが満載だったようです。

毎月の「センターの日」の一日

 とりあえず「センターの日」はゆるく、交流もできる場として、第三土曜日に毎月やっているから、冷やかしに来てもらうくらいがちょうどいいのだと思います。「センターの日」をやっていることで、労働者のみなさんはもちろん、釜ヶ崎に関心を持ついろんなかたたちと知り合うことができました。こうやって毎月やっていきます。

はなままからおにぎりの差し入れをいただきました。ありがとうございます。

2022年6月23日(木)夜回り・夜回りの不安

 暑い夏がそこまで来ています。公園で休んでいると蚊取り線香を焚いても焚いても蚊が寄ってきて悩ましい季節になりました。

 昨夜は大阪城野外音楽堂で「ToMoNi 演劇×ライブの非戦大芸術祭」という反戦イベントが行われたそうです。今回は行くことができませんでしたが、公園を舞台に開催されるのにふさわしいものだと思います。大阪万博まで続けて開催されるようなので、次の機会にはみんなで行ってみましょう。

 一人で夜回りのコースを回っていると、ふと自分は何をやっているのだろうと不安になることがあります。不審者扱いされて警察を呼ばれても、説明に困るかもしれません。野宿をしているわけではない人に声をかけてしまうこともあります。

 そんなことを長居公園で夜回りをしている仲間に話すと、「別に不審者扱いされてもいい。俺なんか、夜回りでなくても、いつでも気になった人がいたら声をかける。街中で知らないおばちゃんに声かけられるみたいに、普通に関係持っていけばいい」と言われました。

 そこまでの境地には至れない(というか、至りたくない)ものの、人と人との関係は計算を超えた部分、リスクを度外視した部分がなければ成り立たないのだと思います。

 次回寄り合いは7月17日(日)を予定しています。

参考 反戦デモ連動型ライブ・演劇 | Tomoni