大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2019年5月18日(土)第19回「センターの日」──ここからはじめてもらわなければ困る

幸せの黄色いハンカチ

 第19回目の「センターの日」は2019年5月18日に行いました。

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 センター開放行動の団結小屋をお借りして、高倉健倍賞千恵子桃井かおり武田鉄矢が出演する『幸せの黄色いハンカチ』の映画を上映しました。

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 センター閉鎖後はじめての「センターの日」となるので、センター周辺にいる人たちのお話をじっくりお聞きしたいと思い、いつもは14時からやっている映画を15時からにしました。その結果、映画が終わる時間が遅くなり、シェルターの受付時間ギリギリになってやきもきされたことと思います。配慮が足りなかったと反省しました。

センター周辺でお聞きした話

 「昼回り」では、深夜の襲撃についてお聞きしました。周辺で野宿している人たちで協力し、団結小屋にも一声かけて対処したそうです。

 センターが閉鎖された時には現地におらず、自転車を置きっぱなしにしていたという人もおられました(翌日取り戻すことができたとのこと)。萩の森予定地の休憩スペースについてもおたずねしたところ、まだご存知ないようでした。

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 私たちがふだん大阪城公園近辺でやっている夜回りでは「あいりん労働福祉センター」(労働施設部分)の閉鎖にともない、大阪社会医療センターも閉鎖されたと思い込んでいる人と出会いました。

 萩の森予定地の休憩スペースでは、ビラを渡すと「仕方ないやないか。耐震性に問題あるんやから。なんかあったらあんたが金払ってくれるんか?」と厳しい口調でいわれました。 

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 「昼回り」を終えて、テントに戻ると、しばらく遠方の飯場に入っていて、センターが閉鎖されたことは聞いていたが、今日はじめて実際に見て驚いたという人が来ておられました。

 映画も終わって、片付けをしているところに、両手に荷物を抱えた人が来られて、「ここ(釜ヶ崎)に来れば何とかなるって聞いて来たんですけど」と話しかけてこられました。

何が大切なことなのか

 医療センターについてあったように、センター閉鎖にまつわる誤解もあり、解体工事がはじまるまでの2年間だけでなく、建て替え期間もさまざまな問題が起こるであろうことが予想されました。

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 「困ったら釜ヶ崎に行けばなんとかなる」というのは、日本社会がさまざまな問題をいち地域に押しつけていることの裏返しであり、決していいことでないのかもしれません。釜ヶ崎にはさまざまな困難を抱えた人が訪れ、また、現にたくさんの人たちがさまざまな困難を抱えながら暮らしています。

 そういう場所だからこそ、まずは訪れた人を受け入れ、落ち着ける場所が絶対的に必要なのだと思います。そういう場所が日本社会からはどんどん奪われ、都市の中でも潰されていっています。

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 「困っている人」が集まるとそこは「困った場所」に思えるのかもしれません。「困った場所」はないほうがいい」「困っている人はいない方がいい」。そうかもしれません。しかし、まず「困っている」ことを認めてもらえなければ、何もはじまらないように思います。

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 何かがはじまるのはここからだということです。ここからはじめてもらわなければそれこそ「困る」のですから。