大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2020年4月18日(土)第29回「センターの日」——わしらがみんなでセンターを自分たちで守ってきた

2020年4月18日(土)第29回「センターの日」のあらまし

 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言のさなか、あまり派手にはやれないだろうという気持ちで、控えめな開催の用意をしていましたが、最近では「センターの日」の常連のみなさんも増えて、開始時間にはたくさんお越しいただきました。

 今回も製作中のラーメン屋台を借りて、路上コーヒーコーナーを開設しました。大きなやかんでお湯を沸かし、ミルで豆をひいて最初の1時間、2時間はコーヒーを入れっぱなしでした。しかし、外でみんなで集まってわいわいやっていると、そんな時間も退屈せずにすごせました。

 この日はたまたま何組か、食べ物や物資を配って回られていました。カップラーメンもあったので、コーヒーのお湯をお分けしました。

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中島敏写真アーカイブより

 今回は映画上映しなかった代わりに、『定点観測釜ヶ崎』で有名な写真家・中島敏さんの写真アーカイブより、秘蔵写真を解説付きで公開しました。コンパネ二枚に紙を貼り付けていく作業をみなさんにお手伝いいただきました。

 1970年代のできたばかりのセンターをマイクロバスが取り囲んでいます。すると、一台一台のバスを指して「これは◯◯の車や!」「これは◯◯やな、尼崎の」と教えていただきました。私たちが見ても同じマイクロバスにしか見えないものが、当時を知る人には識別できるということに驚きました。

 二枚のコンパネを前に、昔話や世間話に花が咲いていました。片付けをしていると、「この写真もらえんかな?」という人もおられたので、お持ち帰りいただきました。センターが開いていた時には壁面を利用して写真を展示していました。この企画はまた形を変えてやりたいと思います。

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わしらがみんなでセンターを自分たちで守ってきた

 最後のころに立ち寄ってくださった人に、センターは夜でも開いていた、一晩中電気がついていたいう話を聞きました。1990年代の野営闘争の頃の話かと思いましたが、その前にも開いていた頃があったのでしょうか。

 「わしらがみんなでセンターを自分たちの場所として守ってたんや」センターを閉めるなと、大阪市役所にも行ったし、府庁にも行った。「がんばったけど、ここは生活保護が多いから、その分に金を回さんとあかんと言われて、それも仕方ないかということになった」という形でその場はまるめこまれてしまったとのこと。しかし、役人の説明には納得がいかなかった。「国が決めたこと」と言って、話し合いに応じない。そうしたやり方は今も変わっていません。

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「野宿者および不安定居住者に対する特別定額給付金についての要望」を提出してきました

 5月11日(月)、「センターの日」をやっている大阪城公園よろず相談、釜ヶ崎トロールの会、長居公園仲間の会に加え、いつも「センターの日」の場所と道具をお貸しいただいている釜ヶ崎センター開放行動の連名で大阪市長宛に「野宿者および不安定居住者に対する特別定額給付金についての要望」を提出してきました。

 要望は住民票のおけない人でも、簡単な手続きで速やかに現金を手に入れられることを目標に、以下の三点に集約しました。

1. 野宿者や不安定居住者に対する、住民票による確認が不要な特別定額給付金の速やかな支給

2. 野宿者や不安定居住者への現金手渡しでの特別定額給付金の速やかな支給

3. 窓口で速やかに完了できるような簡素な手続きの整備

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窓口でのやりとり

 大阪市役所4階にある市民局総務部総務担当の窓口でひとまず要望書を渡し、定額給付金担当課長、同係長のお二人にお越しいただき、1時間ほどやりとりをしました。

 話してみた感触では、やはり住民基本台帳にもとづいた給付を前提として、住民票を基本とした対応しか考えていなさそうです。「国の方針があるので、そこから外れるようなことは大阪市としては難しい」と、国と自治体とで決定責任を宙づりにしてやりすごそうとしている様子です。

 とはいえ「しない」「できない」とは決して言いませんでしたし、「これから検討する」と言っている以上、住民票にかかわりなく給付する方法を整備することを求めていきます。まず大阪市が「給付する」と決定すれば、それを前提に実際の制度を整備していけばいい話なのです。

 2009年の定額給付金では、住民票をおけない人は制度から排除されていたのに対し、今回の特別定額給付金では、政府の発表の当初から不安定居住者にも給付が行き渡るような配慮がなされることが明言されました。前回の制度的不備を反省し、一歩踏み込んだところは評価すべき内容といえるでしょう。しかし、それが給付の現場の対応で後退するようなことはあってはなりません。

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今後の予定

 特別定額給付金の速やかな給付は、不安定居住者にとって喫緊の問題であり、期間をおかずに回答することを求めました。

 今回の要望に対して、2020年5月15日(金)までに、検討の議論の途中経過でもかまわないので、文書での回答をすること、週明けの5月18日(月)にその文書について質問する場を設定することを両名と約束しました。

 5月18日も12時に大阪市役所前に集合で、説明を求めにいきます。一緒に行こうという方は釜ヶ崎センター開放行動の人に訊いてください。

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