2020年3月21日（土）第28回「センターの日」のあらまし
桜にはまだ早いけれど
3月の「センターの日」はこれまでになく大勢の方にお越しいただきました。事前に告知ポスターを貼ったこと、開始1時間前にビラを配布したこと、そして、3月半ばにして春の訪れを感じさせる暖かな気候に恵まれたためだったのだと思います。
釜ヶ崎銀座通りにはハクモクレンが白い花びらを散らしていました。山岡荘八の『伊達政宗』の三巻目を読み進めているところだという方に、木蓮には赤と白があり、釜ヶ崎に咲いているのは白蓮の方だろうと教えていただきました。「（センターの日）ずっとやっとるやろ？」「うえで（ビラを）もらったことあるわ（笑）」とお話ししました。
別のかた方からは「「センターの日」は4月以来や」と言われました。「中でやっとった時にな」「トラック野郎観たわ」と言うので、確かに去年の4月、センター開放中にやった時に来ていただいたようです。
「こんな生活で苦しくて死にたい」
二人でゆったり過ごしているところにお邪魔すると、「もうこんな生活で苦しくて死にたいんやけど、どうにかならんかな」と訴えられました。
「仕事がないんや。仕事あったら生きていけるんやけどな」「ずっとセンターに助けてもらってたんや」、「特掃も（年齢では）行けるんやけどな……」「（特掃だけでは）食っていけんからな。もう死にたい。生きていけない」「仕事あったら行くよ」
「何とかならんかなあ」とたびたびおっしゃるので、「何かいい考えがあったら一緒にやりましょう。こうして話を聞かせてもらえないと、そんなふうに思ってるっていうこともわからなかったから。また話を聞かせて下さい」とお答えしました。
安い弁当と無料の新聞
いつも13時に安い弁当を売りにくる人がいるので、それを待っているのだという人にもお話を聞きました。
「昨日の弁当や。5つで150円で安い。玉出やったら半額になった弁当が150円や」
センターの周りは、まだ露店の系譜が残っていて、市場が形成されているのだとわかりました。昨日の新聞を無料でくれる人もいるそうです。普通の新聞からスポーツ新聞までそろっているのだとか。そういえば、通り過ぎたところでも、スポーツ新聞広げている人はたくさんいたなと思いました。
冬の最後の炭火焼き
バスの中から常連さんが出てこられたのでビラをお渡ししました。これまでバスの中で配ったことはなかったので入ってみると、何人か休んでおられました。
この日は、冬の最後の炭火焼ということで、ウィンナーと、少しですが、肉を焼いて食べました。しかし、火力に対して人数が多すぎて、温まってもいないウィンナーの奪い合いのようになってしまいました。やり方を少し考える必要があるようです。
リクエストのあった必殺仕事人の映画も好評で、何人かはモニターの前で食い入るように観ておられました。途中から観はじめた人たちが「最初から観たい」というので、2回まるまる再生しました。
この日は書ききれないほど、いろんなことがありました。若い労働者の方が来て下さったり、和歌山から休みで遊びに来ているという人、新聞社のカメラマンの方がいつのまにか紛れ込んでいたり、フランスからの留学生の女性もいらっしゃいました。
新型コロナウイルス感染症拡大の中で
4月になって大阪府でも緊急事態宣言が出され、新型コロナウイルスの脅威が世界中に広がっています。夜回りをしていても、炊き出しが減って困っているという話をお聞きします。
この状況で「センターの日」もどう開催するべきか迷います。定期的な集いの場としての「センターの日」が根本から揺らいでしまう事態です。
しばらくは、映画の代わりに何か展示を用意して、コーヒーと小包装のお菓子を用意して、お立ち寄りいただいた方からお話を聞かせていただければと思っています。
こんな時に増やせるものがあるとすれば、一人ひとりの知恵であり、人と人のつながりだと思います。一つひとつの点は気づかれなくても、点と点をつなぐことでライフラインが見えてくるはずです。
