大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2020年1月18日(土)第26回「センターの日」──大きな流れに抗おうとする根本

2020年1月の「センターの日」のあらまし

三國連太郎西田敏行襤褸の旗』

 1月の「センターの日」は三國連太郎主演の『襤褸の旗──田中正造の半生』を観ました。1974年初公開の白黒映画で、この映画にニーズはあるのかなと思っていましたが、ビラをお配りしているうちにも「わしが高校生の頃や!」と、強いリアクションがありました。

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 考えてみれば、以前上映した高倉健の『日本侠客伝』が1964年です。白黒映画であることにだまされて、わりと新しい映画であることがわかっていませんでした。

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 この日は、三角公園でお弁当の配布があるということで、最後まで観られなかったという方もおられたかと思います。以前、シェルターのチケット配布に並ぶために離れなければいけないという問題があったことも思い出しました。13時過ぎに映画を観はじめることも検討したいと思います。

おしるこがおいしい!

 年明け第1回目ということもあり、もち入りのおしるこを提供しました。越冬の時期はあちこちでもちつきもあるだろうし、おもちにはみんな飽きているかなとも思っていたのですが、多くの方にお越しいただきました。

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 夏場にかき氷が人気であるように、寒い時期は甘いもの、温かいものがよろこばれるのだなとわかりました。バーベキューコンロで焼くウィンナーも人気でした。ウィンナーを焼きながら、カンパでいただいた安納芋を焼いて最後に食べたところ、あんこのようにホクホクの仕上がりでした。

昼回りでお聞きした話

 あぐらをかいて、コードをむいて銅線をとっている人にお話をうかがいました。
 「退屈やからな。退屈しのぎにやってるわ」──古い線は中身がボロボロになっていて、剥いてもダメだから、そのまま持っていく。硬くてむきにくいものもそうしている。「安いけどな」「目方がどうなっとるんか未だにわからん」。高電圧の電化製品は銅線がたくさん取れる。「電気使うやろ?」「今日は天気がええからいいわ」──こんなふうに話をお聞きする時間が楽しいです。

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 ビラをお渡しすると「一緒に配ったろうか?」と言ってくださる方もおられました。「映画は何時からやるの?」と確認する人や、おしるこをやると聞いて足を運んでくださった方も多かったです。

最近のできごとから

強制排除の布石

 2月5日、大阪地裁の執行官と大阪府・市の職員が警察を引き連れてやってきて、センターの外周一帯にいる人たちに対し、「占有移転禁止の仮処分」という通知をしていったことを知りました。この通知がなされるやりとりの中で抗議した人を、公務執行妨害だとして逮捕する弾圧も起こっています。

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 昨年11月の「センターの日」の際、区役所の職員と警察から身元を聞いて回られたという話についてお聞きしました。生活相談のためではなく、この排除の準備だったとすれば、とんでもない話だと思います。

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 センター建て替えをスケジュール通りに進めるためには、行政は警察としっかり手を組んで、どんな手でも使ってきます。1990年代から続く排除の最終形態が、いよいよその姿を現してきました。

大きな流れに抗おうとする根本

 2月9日にセンターの未来を提案する行動委員会がふるさとの家で行った報告会・討論会をのぞいてきました。まちづくり検討会議の動向の報告があったほか、新しいセンターにどのような機能を求めていくかというアイデアは出つくしているように思いました。「どんなセンターにするかも大切だが、釜ヶ崎が、困っている人でも安心して訪れる場所でなければならない」という意見もありました。

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 行政主導のまちづくりの場で主張する意義、そうした場に参加するがゆえのジレンマがあることもわかる気はします。真っ向から対立しているように見えて、話を聞いてみれば、同じようなことを考えている部分もあります。誰もが自分ができることを考え、頭を悩ませながら、行動に移しているのでしょう。

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 誰もが最大限の努力をしているというなら、センターで野宿をしているみなさんもそうだと思います。この場所で、厳しい日々を生きる努力がここにあります。これこそが大きな流れに抗おうとする根本なのだと思います。