大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2021年10月16日(土)第47回「センターの日」——ビラとルビ

ビラとルビ

 ご覧のとおり、「センターの日」のビラはすべての漢字にルビをふっているのですが、「センターの日」をお手伝い下さった労働者に「これがありがたい」「勉強できて助かる」と言われました。野宿者運動の現場では、20年前からビラにルビをふるのが当たり前でした。しかし、次第にルビをふった掲示物や配布物は減っていきました。ときどき「もうルビなんてふらなくていいんじゃないか」と思う時もありましたが、やり続けてきて良かったです。

f:id:asitanorojo:20211116201644j:plain

散髪の面白さ

 いつも散髪をしてくれるメンバーがいなかったので、代わって素人散髪をしました。バリカンで坊主にするだけなのですが、少し緊張します。その緊張は相手にも伝わるのでしょう。散髪をしていると、お互いに気配りをし合って、不思議な親しみが湧き、会話がはずみます。

 「センターの日」で、こういうことができるのがいいところです。夜回りでもなく、炊き出しでもなく、わずかな焼肉やコーヒーで「労働者のご機嫌を取っていい気なものだ」と言ってしまえばそれまでです。しかし、きっとセンターはそんな当たり前の欲求を満たしたくて労働者が集まる場所なのだと思います。そのようなセンターを私たちは守りたいと思います。

 前日に告知ポスターを貼っている時、当日ビラを配っている時にも、寅さんとリリーの写真に反応して思い入れを語ってくれる人が大勢いました。いろいろ試行錯誤はありますが、「センターの日」はこうやってプラスアルファの娯楽が得られる場であればいいのだと分かった気がしました。

f:id:asitanorojo:20211116201717j:plain

センター本来のあるべきあり方

 「センターの日」は「センターはもともとそういう場所なんじゃないか」という着想から始めたことでした。つまり、みんな勝手に集まって思い思いに過ごしている、それが許されている場所で、広げてみれば、釜ヶ崎の街全体がそういった雰囲気を持っているはずです。

 建て替え後のセンターの機能がどうとか、未来の釜ヶ崎に必要なものは何かだとか、そういうことばかり気にしている時点で、センターの何が大切なのか、釜ヶ崎の何が魅力であり続けてきたのかを、つかみ損ねているように思えます。

f:id:asitanorojo:20211116201754j:plain

正しさのもたらすもの

 排除への対応は包摂だと思われがちですが、私たちは反排除だと思っています。インターネットで個々人が意見を言い合うようになってからか、何かに対してあたかも前向きな何かを持ってきて、それに邁進することが正義になっていきます。確かに、それだけを見れば非の打ちどころのない主張でも、そこに誰もが押し寄せることで、小さいけれど欠かせない拠り所が潰されて行っているように思われます。

 何かに対して何かを持ってきて、その正しさを主張するロジックは本質的に排除的なものなのかもしれません。このような発想法の分かりやすさが根本的な何かを見落とさせているように思えてなりません。排除に包摂を対応させることすら、結果的にある側面では排除を後押しするように。

f:id:asitanorojo:20211116201838j:plain

お知らせ

 年が明けてからになりますが、「センターの日」の番外編企画を考えています。ご期待下さい。

f:id:asitanorojo:20211116201930j:plain