大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2019年7月20日(土)第21回「センターの日」──身体的欲求に根ざしたお話

かき氷と散髪が大人気

 先月に引き続き手回しのかき氷、今回初めて散髪をやったところ、どちらも喜んでもらえました。「昼回り」でビラを渡している時から、「散髪してほしい」「かき氷何時に行ったらええんや?」と食いつきのいい反応をもらいました。かき氷の列が途切れたと思うと散髪の希望者が訪れるといった具合に、人の流れと滞留がうまく生まれていたように思います。

 先月と比べて暑かったこともあり、かき氷は身体的欲求の赴くままに求められたという感じでした。実際にかき氷機を回していても、「早くこの列が途切れて自分の分を削りたい」と思うような、ねっとりした暑さでした。

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身体的欲求に根ざしたお話

 散髪をしていて聞いた話では、「冬はそうでもないけど、夏はとにかく散髪をしてほしい」という気持ちがあるようで、これにはなるほどと思わされました。夏場に蚊取り線香が必須であるように、なかなかお風呂にも入れない生活では、汗をかく暑い夏には頭をさっぱりさせたいという欲求が切実なのかもしれません。

 かき氷もそうですが、身体に直接的にかかわる欲求について私たちも想像力を巡らす必要があるように思いました。うちわなんかももしかしたらよろこばれるでしょうか。

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モバイルバッテリーの活用

 散髪は、大阪城公園よろず相談の素人散髪の達人に活躍してもらいました。ただ、ハサミだけでは大変なのでバッテリー式のバリカンも用意しました。また、普通のコンセントを挿して使える64800mAhという大容量のモバイルバッテリーを購入して用意しました。バリカンのバッテリーが30分程度しかもたないところ、モバイルバッテリーにACアダプターを接続して使うと余裕で散髪を続けることができました。

 バリカンを少々使った程度ではモバイルバッテリーの残量はほとんど減っていないようでした。コンセントの差込口は二つあるので、この電源を使えば他に面白いことができそうです。例えば、テレビくらいは余裕で使えるので、テレビを用意すれば外でビデオ鑑賞会もできます。

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映画の音響効果

 一応、映画も団結小屋の中で上映しましたが、ほとんど人はいませんでした。しかし、路上演奏用のスピーカーで音楽や映画を流していると、「何かやっている」感じが出て、人が立ち寄りやすくなるようです。映画を鑑賞する人数の集まりは気にせずに、これからも映画上映はついでにやっていこうかなと思います。
月1回の楽しいおしゃべりの日、おしゃべりの場所

 「昼回り」をしていて、「ここだけの話やで」と言いつつ、なんの脈絡もなく最近我が身に起こった大事件の話をしてくれた人がおられました。こういう話を聞いていると、みんな話し相手に飢えているんだなと感じます。「センターの日」の方まで足を運んでもらって、「月に1回の楽しいおしゃべりの日、おしゃべりの場所」を作れたら、と「センターの日」のビジョンの一つが見えたように感じました。

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イスを並べて勝手に屋外カフェ?

 片付けの後にスタッフ同士で話していて「イスを並べたらいいかも」という話が出ました。かき氷と散髪と映画をやっていれば、人は集まるし、必然的に待ち時間ができます。かき氷を食べるでも、散髪をするでもなく、フェンス沿いに二人並んで腰掛けておしゃべりしている人たちもおられました。どうせなら「センターの日」は周りにおけるだけのイスやテーブルを配置して、勝手にオープンカフェのようにしたらどうだろうと思いました。

毎月第三土曜日にセンターで

 第21回は「昼回り」のビラを撒いていて、前以上に「月一回の「センターの日」」の通りが良いように感じました。今日は尼崎で生活保護を受けていて、「ここが恋しくなる」からたまに自転車で通ってきているという男性に出会いました。バリカンで散髪をしたこの人は、帰り際にがっしりと握手を求め、現在の生活について話してくれました。

 今回初めて素人散髪をした人の実験台になってもらった時は周囲もドキドキしましたが、あのドキドキ感はご本人にも共有されていたのかもしれません。散髪のあと、かき氷の器を洗うためのタンクの水の補充を手伝ってくれていました。

 あの握手には、この日の出会いに対する喜びが込められていたように感じました。こうして一人一人と出会っていくことで、「毎月第三土曜日にセンターでやっている」という様式が一人一人の生き方と重なり合って、大きなつながりがゆったりと広がっていけばうれしく思います。

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