大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2014年1月23日産経新聞「民営化の大阪市音楽団が大阪城公園からATCに移転へ 高額賃料のため」

民営化の大阪市音楽団が大阪城公園からATCに移転へ 高額賃料のため

 大阪市直営の廃止が決まり、来年度から民営化する大阪市音楽団(市音)が30年以上拠点にしていた大阪城公園(同市中央区)を去り、4月から大阪市住之江区アジア太平洋トレードセンター(ATC)に移転することが22日、分かった。同公園内の練習場を継続使用するには高額な賃料がかかるため。新練習場では客席を設け、ミニコンサートなどで市民に開かれた音楽団体を目指す。

 市音は昭和56年から同公園内にある同市立大阪城音楽堂の管理事務所に練習場を置き、コンサートを開くなどして市民に親しまれた。しかし、民営化に伴い、音楽堂の運営管理からも離れるため、来年度以降も管理事務所を継続使用する場合は年間約2千万円の賃料がかかると試算。新拠点の確保は急務で、昨春のコンサートでは作曲家の宮川彬良さんや指揮者の佐渡裕さんも団体や企業に支援を呼びかけていた。

 新練習場は同センター内ITM棟2階の一画。同市交通局南港ポートタウン線ニュートラム)のトレードセンター前駅から徒歩約5分で、約600平方メートル。現在の倍以上の広さとなり、約400席のいすを設置。隣接して楽器庫や事務所も借りる。

 「アジア太平洋トレードセンター」と共同運営し、賃料を抑える方針。年間80日は優先的に市音が練習場として使用し、他は市音がコンサートを開いたり、プロアマ問わず音楽団体などに貸し出したりすることも計画している。

 市音の延原弘明団長は「拠点を確保でき、ひとまず安心した。コンサート会場としても使用できるので、市民に支持される団体として活動したい」。ATCも「日本最高峰の吹奏楽団が拠点を置くことで、ATCの活性化にもつなげたい」と期待する。

 

 2014年1月23日「産経新聞」

2017年8月20日(日)寄り合い──夏の終わりの大阪城公園から見えるもの

 いつもの、というには企画ものが多くて、むしろ頻度が減っているように思えますが、今回の寄り合いはいつもの持ち寄りご飯でした。

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 相変わらず暑い夏の気候ですが、空気は生暖かく、移り変わりを感じます。木陰の日差しの明るさが写真から伝わるでしょうか。

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 このパスタは味付けがはっきりしていて好評でした。

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 事前に打ち合わせなしで思い思いのおかずを持ち寄るわりに、これはあかんということはありません。きゅうりの和え物も美味しかった。

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 大阪城公園のAさんが用意してくれるウィンナーや卵焼き、よろずのKさんが毎回仕込んできてくれる炊き込みごはんも寄り合いに欠かせません。

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 Kさんは食後のお茶のために、お湯を入れたポットも毎回持ってきてくれます(重たいものばかり、いつもありがとう!)。

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 あっという間に食べ終わってしまいますが、いくつものグループに分かれ、行き来しながら15時過ぎまでおしゃべりが続きます。デザートの梨も気が利いています。

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 大阪城公園のKさん、前回から参加してくれている西区のSさんたちから、野宿をしている際の「虫害」事情をお聞きしました。蚊はもちろんですが、ムカデやアリ、なめくじなどに悩まされます。Sさんの寝ているところには、川ガニが出るそうで、大きな川ガニは剥がそうとしても剥がれないのだとか。

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 Kさんはムカデが寄ってこないように、自分が寝ているベンチの周りを掃き清め、薬剤も用いて、駆除に成功したそうです。地肌がきれいに見えるベンチ周りをご覧ください。

 大阪城公園は相変わらずの賑わいで、東屋跡に敷かれたアスファルトの空き地は、ジョギンググループの集合場所になっています。細かな変化、大きな変化、見えやすい変化、見えにくい変化があります。

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 ジュースの自動販売機を見ると、多国語による品書きがあることに気づきました。

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 遊園地の安いアトラクションのような音楽と、まがい物の汽笛を大音量で響かせてロードトレインが走り去ります。

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 公園のあちこちにコンビニができたせいで、トラックがわがもの顔で通り過ぎていきます。こういった風景を、当たり前だと、慣れてはいけないと思います。きらびやかに飾り立てられたものの熱気に浮かされているうちに、記憶までなくしてしまいます。

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 たそがれコンサートは、夏の風物詩となっています。この会場となっている大阪城音楽堂と、その向かいにある大阪城パークセンターの事務所が入っている建物を潰して、何かを作る計画があることを小耳に挟みました。

 現在もたそがれコンサートで活躍するシオン(元大阪市音楽団)の拠点が大阪城公園にあったことも忘れられていくのでしょう。思い出や記憶は場所とともに受け継がれていきます。お金に変えてしまえば、そこから生まれてくるものは、その場限りの熱狂になってしまうでしょう。

カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力いただけると幸いです。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

 

 

2017年7月23日(日)寄り合い──そうめん大会

 この日の寄り合いは毎年恒例のそうめん大会となりました。

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 ジップロックに水を入れて冷蔵庫で凍らせた氷をたらいに入れます。

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 安いそうめんは美味しくないので、よろずのそうめん大会では揖保乃糸クラスのそうめんを用意することにしています。

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 みんなで持ち寄った薬味類です。

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 かぶることを恐れ、過剰に忖度しあった結果、ネギがありませんでした。美味しくいただきました。明太子が人気ありました。塩もみきゅうりもネギ不在の状況でか、よく売れました。

 この日は、Kさんが図書館で知り合った、西区で野宿しているという方を連れてきてくれました。Kさんに勧められて哲学書に手を出してしまったそうなので、いずれ哲学読書会の方にもご参加いただけるとうれしいです。

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 あいかわらず壊れたインフラは放置されたままです。このまま再開発を待つつもりでしょうか。

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 太陽の広場に開設された夏期限定のスライダープールは前年以上の力の入れようです。夜回りをしていると、会場内でライブが開催され、21時ごろまで営業されているようです。

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 プールの裏は大きな水溜りができてグチャグチャです。

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 スライダープール会場を離れると静かな公園で、夏の夜に作られた商業施設が異様なものに思えます。公園にまで騒々しい施設が作られてしまっては、憩いの場をどこに求められばいいのでしょうか。

2017年7月1日(土)第9回哲学読書会『アリストテレス 哲学のすすめ』

 

 今回の哲学読書会は揚羽屋で18時から行いました。Sさんは日程を勘違いしていて、連絡を取ったところすでに寝る準備までしていたということで、不参加となり、4人で開催しました。

 この本はアリストテレスの公開的著作、つまり、当時出版されたものなのだそうです。現在まで残っているアリストテレスの著作のほとんどは、本人が残した自分用のノートのようなもので、公開的著作はほとんどないということらしいです。この本にしても、さまざまな手段で復元したものなのだそうです。

 この本を読むと、アリストテレスが哲学を当たり前の知的実践として当時の人々に勧めようとしていたことがわかります。人間は考えようとする生き物であり、生きることすなわち哲学なのだとアリストテレスは考えていたのではないかと思いました。

 揚羽屋の調理人であり、哲学読書会のメンバーでもあるUさんが腕をふるって、ふだんなかなか味わえない美味しい食事を用意してくれました。

 哲学読書会は当初、日曜午前中10時というセッティングではじまりました。前回オシテルヤ本館で夕方からの開催になりましたが、Kさんは前々から、読書会の後にくだけた話をする時間を持ちたいと思っていたそうです。

 この一年で読んだ本がニーチェツァラトゥストラかく語りき』、プラトンプロタゴラス』、プラトン『テアイテトス』、デカルト方法序説』、アリストテレス形而上学 上』、コンディヤック『論理学』、アリストテレス『哲学のすすめ』の7冊です。初回は本を決めただけでしたし、『ツァラトゥストラ』に4回かけていたので、二期目はさらに多くの哲学書に触れることができそうです。

 これまで読んできた中の空白を埋めていこうということで、次回は、ルソーの『孤独な散歩者の夢想』(光文社古典新訳文庫)にしました。いろんな出版社から訳が出ていますが、中山元さんの解説で買いとしました。


 

2017年6月4日(日)寄り合い――難波宮跡公園で初開催!

 いつもは大阪城公園市民の森にて行っている寄り合いを、初めて難波宮跡公園で行いました。

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 難波宮跡公園では、ボール遊びをするファミリー、コンパをやっている学生など、思い思いに休日を楽しんでいました。野宿をしている人もいて、声をかけさせてもらいましたが、すでに自分で食事を済ませておられました。

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 こんな具合に、だだっ広くて、何もなく、自由に過ごせる場所というのは、大阪にはもうあまり残されていません。警備員もまわってきませんし、ぼやっと過ごすのにお金も必要ありません。

 大阪城公園駅までは、ジョー・テラスが着々と工事を進めており、グローバリゼーションの象徴ともいえるスターバックスがいよいよ公園に進出、市民の財産である公園を占有して、商売を始めます。

 公園は、都市であくせく暮らす私たちが消費生活から束の間解放され、様々な人々がそれぞれの生活に応じたやり方で過ごせる場所であればいいのです。お互いにいがみ合うことなく、多少は譲り合いながら、私有地の呪縛から離れて、自分の精神や肉体にとって必要なだけの広さを占有して、他人の息づかいも感じつつ、休息する。

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 ところがそこに、企業が乗り込んできて、料金表が貼られる。値段の高いものはおいしいのではないか、よっぽど楽しいのではないかと思わされる。休息中にむやみに欲望を掻き立てられたくない!――ではありませんか?

 人間は生きている以上、宙に浮いているわけにはいかないのです。万人が、安心して地面に肉体を置いておく場所を、確保しないなんて、あまりに人間を疎外したやり方ではありませんか? 

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 飲みたくもないコーヒーに金を払って飲んでいるふりをしないと、そこにいてはいけないなんて! 都市において、公園は人間性を回復するための砦なのです!

 なぁにがトライアスロン大会だ~~!! まずたたずむこと、腰掛けること、体を横たえることを保証しろ!! 雨が降ったら雨宿りする場所を作れ~! 炎天下で休める日陰を作れ~!

(2017年6月8日(木)の夜回りのビラから再構成しました)

2017年5月9日(火)第9回哲学読書会──コンディヤック『論理学──考える技術の初歩』

 第9回哲学読書会は、場所と時間を変え、夕方6時よりオシテルヤ本館で行いました。参加者はSさん、Kさんを含む5人でした。

 コンディヤックの『論理学』はもともと教科書として用いられることを念頭に書かれたというだけあって、わかりやすい本でした。イギリス発の経験論を、フランス人であるコンディヤックが解説し直しているという点でも、いろいろ考えさせられるところがありました。

 これまでもKさんが「大陸合理論とイギリス経験論を両方押さえておく必要がある」と言っていました。ようやく経験論を読むにいたって、なるほどこれはこれまで読んできたものとは全く違うなと思いました。タイトルに「論理学」とついているので、難しい理論的な話が出てくるように思われますが、実際は実用的な分析の指南書という感じで、いちいちなるほどと納得のいくものでした。どことなくデカルトの『方法序説』も連想されて、つまるところ、この世界をどのように理解していくかを確かにしようとする基盤に論理学があるのだとわかりました。

 個人的にはプラグマティズムとの類似が意識され、こういった思考法がイギリスやアメリカで発展したというのはどういうことなのかと考えると、神様との距離感なのではないかと考えました。『方法序説』の中でデカルトは神様を貶めずに、しかし、神学と切り離した科学的な方法を、慎重に模索していました。コンディヤックの『論理学』にも神様は出てきますが、扱い方がずいぶんソフトになっています。

 コンディヤックはフランスにもイギリス経験論を取り込む必要があると考えてこのような本を書いたのだといいます。デカルトのように限定に限定を重ねて、厳密に議論を積み上げていくやり方だと、科学的な確かさは強固になっても、手間と時間がかかりすぎるように思われます。その点、経験論だと、検証はほどほどに確かめながら、議論を次の段階に進めることができます。

 イギリスは、自分が離婚したいがために王様が自分の教会を作ってしまうような場所です。神様との距離を取りやすい思想的な下地が作られていたのだとすれば、神様を気にせずに済んだために、実用的な経験論を発展させられたのではないでしょうか。そして、この実用的な思想が、産業革命を引き起こすような科学的な技術革新を生んだのだと考えると、つじつまが合います。

 デカルトコンディヤックの両著にある140年の出版年の開きが、フランスにおける神様の地位の変化を内包していると考えると、人間の思想的格闘の積み重ねの偉大さが感じられるようです。

 これまでは日曜日の午前10時から12時に開催してきた哲学読書会を、平日の夕方にしたのは、参加のしやすさを考慮したこともありますが、読書会の後にゆっくりおしゃべりしたいという話が出たためでした。読書会のあと、オシテルヤの職員のHさんが作ってくださった雑炊と牛皿をおいしくいただき、夜遅くまで語り明かしました。

 次回は、Kさんの薦めで、アリストテレスの『哲学のすすめ』を読むことにしました。これは、本文は短く、解説が充実した本なので、アリストテレスギリシャ哲学を総合的に知るのにちょうど良さそうです。

2017年5月14日(日)寄り合い──久しぶりに持ちよりご飯

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 今回の寄り合いは久しぶりに持ちよりご飯の形式で行いました。5月4日は名古屋のソフトボール大会に参加し、9日は哲学読書会と、気づけばよろず尽くしの5月になっていました。

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 今年はよろずから生活保護の申請をしたり、家を借りたり、難波宮跡公園からよろずを紹介されたりと、新しい人たちとの出会いが増えています。今回の寄り合いも、花見の時に参加してくれたという人や、最近市民の森で野宿しているという人が参加してくれました。

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 もともとは東屋で野宿していたみんなが、困っている人を見かけたら声をかけて教えてくれたり、誘ってくれたりしてくれるようになって、自然な形で関係を持てる雰囲気ができてきているようです。

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 公共空間の商業化の波は、大阪城公園を中心にますます強まり、難波宮跡公園など、周辺にも波及していく様子を、日々の活動の中で目にします。野宿している人たちも、私たち以上に敏感に変化を察知し、状況を分析しています。野宿をしている人たちだけの問題ではなく、私たちだけの問題でもないといった理解を自然な形で共有し、定着させていく道を探りたいと思います。

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 次回の寄り合いは、夜回りで定期的な交流が持てていることだし、一度試しに難波宮跡公園でやってみようかと話しています。