民営化の大阪市音楽団が大阪城公園からATCに移転へ 高額賃料のため
大阪市直営の廃止が決まり、来年度から民営化する大阪市音楽団(市音)が30年以上拠点にしていた大阪城公園(同市中央区)を去り、4月から大阪市住之江区のアジア太平洋トレードセンター(ATC)に移転することが22日、分かった。同公園内の練習場を継続使用するには高額な賃料がかかるため。新練習場では客席を設け、ミニコンサートなどで市民に開かれた音楽団体を目指す。
市音は昭和56年から同公園内にある同市立大阪城音楽堂の管理事務所に練習場を置き、コンサートを開くなどして市民に親しまれた。しかし、民営化に伴い、音楽堂の運営管理からも離れるため、来年度以降も管理事務所を継続使用する場合は年間約2千万円の賃料がかかると試算。新拠点の確保は急務で、昨春のコンサートでは作曲家の宮川彬良さんや指揮者の佐渡裕さんも団体や企業に支援を呼びかけていた。
新練習場は同センター内ITM棟2階の一画。同市交通局南港ポートタウン線(ニュートラム)のトレードセンター前駅から徒歩約5分で、約600平方メートル。現在の倍以上の広さとなり、約400席のいすを設置。隣接して楽器庫や事務所も借りる。
「アジア太平洋トレードセンター」と共同運営し、賃料を抑える方針。年間80日は優先的に市音が練習場として使用し、他は市音がコンサートを開いたり、プロアマ問わず音楽団体などに貸し出したりすることも計画している。
市音の延原弘明団長は「拠点を確保でき、ひとまず安心した。コンサート会場としても使用できるので、市民に支持される団体として活動したい」。ATCも「日本最高峰の吹奏楽団が拠点を置くことで、ATCの活性化にもつなげたい」と期待する。