大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2020年6月8日(月)「野宿者および不安定居住者に対する特別定額給付金についての要望」団体協議の報告

 2020年6月8日(月)午後1時から午後3時に「野宿者および不安定居住者に対する特別定額給付金についての要望」にかんして大阪市定額給付金担当)と団体協議を行いました。

 日本国内で新型コロナウイルスの感染拡大で困っている人に広く支給されるのが特別定額給付金です。このお金はホームレスの人たちにも行き渡るようにすることが明言されています。ところが住民基本台帳に記載されていることを基準に支給するというおかしなことを言っています。今回の要望は、住民票にかかわりなく、支給されるように求めるものです。

何もする気のない大阪市の回答

 回答書の段階でも示されていたように、大阪市総務省の取り決め以上のことをするつもりはないという姿勢を一切崩しませんでした。

 6月4日の市長会見で、松井市長が、口座を持っていない人には現金で渡すこと、ホームレスの人は自立支援センターに入所して住民登録をしてもらうという方針を述べていました。

 DV被害者については、確認書があれば、住民登録の住所にかかわらず、本人への支給が可能であることが示されています。また、無戸籍者に対しても支給は可能であり、そのために取るべき手続きも総務省により示されています。

 DV被害者の場合、現在地以前に住民登録そのものはなされていたことを根拠に、大阪市住民基本台帳が支給の条件であるような説明を繰り返していました。しかし、これらの取り扱いの指示は、住民基本台帳が最大公約数としての対象者把握の出発点にすぎず、そこから外れるケースについてはそれぞれ配慮すべきであることを証明するものです。これをあくまで「住民基本台帳に登録するための配慮」であるというなら、野宿者に対してもその事情に即した「配慮」をする必要があります。「配慮」を「しない理由」はどこにもありません。

どこに住民登録できるのか

 松井市長が会見で述べていた自立支援センターに住民登録をすることについて説明を求めたところ、「要望に書かれていないことには答えられない」などといって言い逃れを繰り返しました。

 事前の打ち合わせの段階でも、住民票について説明できる住民情報担当の出席を求めましたが、「要望に住民票のことは入っていないから呼ぶことはできない」と頑なに拒まれました。「よそから担当者を呼ぶことはできないが、関係する事項についてはきちんと回答できるように確認をしておく」と言っていたにもかかわらず、定額給付金担当の中谷係長は、現在の自立支援センターの運用実態すら把握できていませんでした。

 自立支援センターの定員を問うと答えられず、福祉局自立支援課ホームレス自立支援グループに確認に行かせると定員112名、現在の入所者56名ということがわかりました。2019年1月の全国調査で大阪市のホームレスは1,002人という結果が出ており、現在の自立支援センターに入所し、住民登録をする形では、大半の野宿者は定額給付金を受け取れないことになります。このことからも、大阪市はまともな検討すらしていないことがわかりました。

 また、6月から、野宿者に対して特別定額給付金支給の案内のチラシの配布を開始したとの説明がありましたが、少なくとも釜ヶ崎長居公園の仲間のあいだでは、そのようなチラシを渡されたという人はいませんでした。

今後の予定

 以上のように、協議とは名ばかりで、「国の方針に従うだけ」「要望に書かれていないことは答えられない」などと言って、ごまかしているだけであり、また、大阪市側から発表したことであるにもかかわらず、野宿者の住民登録について、まともな検討を行なっていないことが明らかになりました。

 最終的に、DV被害者の扱いに準じた現在地での給付を野宿者に対しても適用できないか、という1点に関して総務省に対して問い合わせの上、次回の協議で回答することを約束させました。

 こちらの求めた自立支援課、住民情報グループの協議の出席は、新たな要望書を出してもらわないとできないと譲らなかったため、新たな要望書を検討しています。

 次回の協議の日程について、今週中に中谷係長から連絡するとのことです。