今回の寄り合いはおでんでした。「今年も無事におでんが食べられたね」と恒例行事のようになっています。また、1月の寄り合いは大阪国際女子マラソンとかぶるのも恒例になっています。年末年始を挟むため、必然的に1月最終日曜日と重なるせいでしょう。
お昼前から交通制限がされて、同日開催の大阪ハーフマラソンのランナーの一団が、森ノ宮駅前をひしめき合っていました。
公園内もコースになっているので、マラソン目当ての人たちはいるものの、市民の森に入ると普段より人気がなく、静かな雰囲気があります。ただし、ランナーが通過し終わるまでは、上空でヘリコプターが騒音を鳴り響かせていました。
おでんの具材は何人かで分担して下ごしらえしたものを現地で混ぜ合わせます。いつもの炊き込みごはんと一緒に美味しくいただきました。参加者は少なかったものの、難波宮跡公園からも仲間が足を運んでくれたり、サクヤルミナの騒音問題に取り組んでいるrさんも久しぶりに参加してくれて、17時近くまでおしゃべりに興じました。
森ノ宮駅側の噴水周辺は、2017年末頃からカイヅカイブキの林が大量に伐採され、「便益施設」と称して有料児童遊戯施設やスターバックスコーヒー、ローソンなどの店舗が作られました。同時に新設された「ボタニカルショーケース」も相変わらず木立とも言えない貧相な姿をさらしています。
最近、残っていたカイヅカイブキの伐採がさらに進み、市民の寄附金による桜が代わって植えられることがわかりました。
20年近く活動しているよろずのメンバーからは、かつてに比べると、市民の森の木々も減ったように思えるとの意見がありました。今でも市民の森に入ると都会の喧騒を逃れてほっとできる空間です。こういった森を見通しのいいものに変えていくのがパークマネジメントなのでしょうか。
寄り合いの前日に、日本自然保護協会の全国大会が開かれ、そこでパークマネジメント事業について報告されたことを知りました。パークマネジメント事業は国交省の旗振りで全国規模で広がっています。
報告は、東京は八王子の長池公園と、大阪は大阪城公園を取り上げたものでした。長池公園が市民の声を反映しながら自然保護的な観点を取り入れたものであるのに対し、大阪城公園の商業主義による大規模な自然破壊、公園破壊の事例は好対照であり、「こんなひどいことが行われているとは……」と、全国の参加者を唖然とさせていたとのことです。
都市にくらす人びとが自然に触れる場所は限られています。自然に触れることのできる大阪城公園のような場所が、金儲けのために作り変えられれば、公園は金持ちのためのものになり、貧乏人は自然に触れる機会を奪われてしまいます。身近な自然を発見し、その価値を守りたいと行動に移すのは、どちらかと言えば「自然を消費」しにいけない/いかない貧乏人の方です。公共空間の商業化はこうした行動の担い手を奪うものでもあります。
ジェントリフィケーションといえば、貧困層の集住地が再開発によって追い出しにあうことを問題化するものですが、住居の範囲を越えて、ジェントリフィケーションの視点でとらえるべき階級闘争の問題圏は広がっているのではないでしょうか。
この大会の前日、報告者のお一人である大阪自然環境保全協会の方といっしょに、ふだんよろずが活動している場所を中心に公園内を歩きながらお話しすることができました。
大きな政治的な変化、社会変化を背景に、公園で新たな出会いが生まれていることに、かすかな希望を感じます。
昨年の夏頃から夜回りや寄り合いには欠かさずに来てくれている仲間も、少し遅めの時間に来てくれました。マラソンが通過し終わってしばらくすると、いつもの一輪車サークルの人たちも東屋のトイレ跡で練習をはじめていました。
気づいていないだけで、私たちはいつも出会いに開かれており、新たな自分の発見や、社会や環境へのまなざしの獲得の機会はあふれているのかもしれません。それこそが本来の「公園のにぎわい」と言えるでしょう。