大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2019年11月21日(木)夜回り・大阪マラソンにご注意/トリノのスクウォットの現場へ(イタリア報告その10)

大阪マラソンにご注意

 12月1日(日)に開催される大阪マラソンにともなった追い出しの動きがあります。パークセンターの管理体制が一部改編されたのか、荷物を勝手に処分されたという話も聞いています。

 24時間、365日とまでは行かないまでも、大阪城公園は週末ごとにイベントで塗りつぶされていき、予防的な排除がすでに進行しています。大阪城公園天王寺公園などの商業化について、疑問を抱く大阪市民も少なくないようです。

 一致団結して反対行動をというわけにはいかなくても、生活感に根ざした当たり前の思いを知らせていくことが、状況を変えるきっかけへとつながっていくはずです。みなさんの声を聞かせて下さい。もちろん、個別の相談もお寄せください。

トリノのスクウォットの現場へ(イタリア報告その10)

エジプト博物館

 いよいよトリノで過ごす最後の日になりました。午前中はエジプト博物館に行きました。なぜトリノにエジプト博物館があるのかは知りませんが、これでもかと陳列された収蔵品に圧倒されながら、長い順路をまわりました。犬やワニもミイラにしていたんだなということが印象に残っています。

社会センター

 エジプト博物館を堪能したあと、近くのオープンカフェで昼食をとりました。14時にトリノの友人と合流して、ポルタ・ヌォーヴァ駅からバスに乗り、中心地から離れた場所にある社会センターに行きました。

 社会センターとは、使われていない建物をスクウォット(占拠)して、交流の場として開放している施設のことを言うようです。閉鎖された幼稚園だか小学校だかをスクウォットしたこの社会センターは、もとの建物の造りもあってか、開放的でありながら、隠れ家的な雰囲気もあって、魅惑的でした。

 二つある講堂のうち、一つはリングも設置されたジムのようになっていて、日替わりでいろんな格闘技のレクチャーが開催されているそうです。もう一つは、防音設備も手作りで完備したコンサートステージになっていて、バーカウンターまで設けられていました。

 中庭は畑になっていて、有機農法の研究室があったり、半地下の奥まった場所には、また別にバーカウンターのある交流スペースがありました。建物の入り口横に設置された手動で遊ぶサッカーゲーム機に子どもたちは夢中になっていました。

もう一つのスクウォットの地へ

 小一時間ほど過ごしたのちに、またバスに乗ってもう一つのスクウォットの地へ向かいます。次の施設は古い教会を占拠していて、ピザ窯でピザが焼けるとのこと。よくわかりませんが、ピザのトッピングや酒類を持っていって補充すれば、ピザを焼いて食べていいらしい。

 大きなスーパーで買い出しをして、町はずれまで歩いていきます。この辺りはトリノオリンピックの際に開発された地域だということで、よく見るとあちこちにその名残のマークがあります。

 マンションやビルが目立つエリアから外れ、一軒家のあいだの舗装されていない道を抜け、幅の広い幹線道路を一本越えたところに目的の教会がありました。教会の周りは畑だったり、空き地だったりして、周囲から隔絶した雰囲気があります。こんな人気のないところに……と思いましたが、教会の外壁にはグラフィティが描かれ、もとの色合いがわからないくらい明るく塗られています。

 ミントグリーンのペンキで厚く塗られた年季の入った木製の大きな両開きの扉を開けると、なかはパーティ会場のようでした。どこまでがもとの教会で、どこからがあとで付け足した部分なのかわかりませんが、天井が高くて、暖かい灯に照らされた二列のテーブルをたくさんの人たちが囲んで、ピザとビールを楽しんでいます。左手奥に石造りの立派なピザ窯があり、右手はキッチンになっています。

 子どもたちは教えてもらいながら一人一枚ずつピザを作り、焼いてもらって、自前のピザを気前よく大人たちに分け与えてくれました。また、子どもたちは日本で仕込んできたソーラン節を披露し、喝采を浴びていました。英語を話せる27歳の男性からは「君たちの子どもはしっかりしてるね、イタリアの子どもとは違うよ!」とおほめ(おせじ)の言葉をいただきました。

トリノ最後の夜

 なんだかよくわからないままでしたが、はちゃめちゃで楽しい時間をすごすことができました。あれもこれもこのトリノの友人の築いたつながりと、心遣いのおかげです。楽しい時間がすぎるのは早く、ホテルに帰り着くころには23時近くなっていました。

 長かった旅も終わりが近づいてきました。明日にはまた電車に4時間揺られ、ローマに戻り、その翌日にはイタリアを発つことになります(つづく)。