大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2019年8月29日(木)夜回り・夏のやり過ごし方/NO TAV運動で見出されたもの(イタリア報告その7)

夏のやり過ごし方

 今年の夏は日中は暑く、夜は一転して涼しいといった日もあれば、夜も熱気が続く日もあります。

 夜回りでは、路上でお会いできる人数が最近少なめになっています。「どこか涼めるところで暑さをやり過ごしてから、遅めの時間に寝はじめるのだろうか」などと夜回りメンバーで話しています。台風も気になる季節です。夏のやり過ごし方の工夫など、聞かせて下さい。

NO TAV運動で見出されたもの(イタリア報告その7)

 アルプス山脈にトンネルを掘ってフランス・イタリア間にリニア新幹線を通す計画に反対するNO TAV(ノータブ)運動について紹介してきました。今回は運動についてうかがったお話の中で印象深かったことを書こうと思います。

闘うおじいさんたち

 夕食を食べながらお話を聞かせてくれた人たちの多くが70歳を越えるおじいさんでした。国を相手に闘うのは大変なことです。前回書いたように警察から催涙弾の攻撃を受けることもあります。国と裏で手を組んだマフィアの嫌がらせを受けることもあります。

 「若者が応援で来てくれるけど、自分が一番前の危ないところに出る。逮捕されやすいところは自分たちが受け持つ」と、ある人が熱く語ってくれました。「自分の子どもも現場に出ると言っているが、この運動は長い闘いだから、自分が闘えなくなったらその後を継いでくれと言っている」というのです。

闘いのなかで見つけたもの

 闘いのなかで見つけるものもあります。「同じ村に住んでいるのに、彼のことはこの運動をはじめるまで知らなかった。この運動をはじめてからお互い知り合うことができた」と隣の男性とうなずきあう姿もありました。

 山奥の団結小屋の手前に、廃村に似つかわしくない観光案内のような立て看板があります。イタリア語の解説文に立派な羽の蝶々と植物の絵が添えられています。これは、幼虫のときには、この植物の葉しか食べられないという蝶で、運動のさなかに発見された新事実だということです。

 子どもたちが「だるまさんがころんだ」で遊んでいると、「イタリアにも同じ遊びがあるよ!」と夕食会に来ていたお姉さんが教えてくれました。この日も一つ発見があったというわけです。子どもたちはのびのび遊び、めったにない子どもたちの参加にみんなよろこんでくれていました。

生活すること、見つけること

 このNO TAV運動の現場で見聞きしたこと、教えてもらったことには非常に感銘を受けました。大阪でもすでに70歳を越えていたり、もうすぐ70歳だという仲間が野宿生活を生き抜いています。いくつになっても苦境に抗う人びとが世界中どこにでもいるのだという思いにさせられました。

 NO TAV運動の中心を担う人たちが、よろずがふだんやっているような寄り合いを大切にしていることにも親近感を覚えました。別の曜日には定例の抗議活動も行っているそうです。

 よろずの夜回り活動のなかでも、さまざまな発見があります。新たに出会ったり、久しぶりに再会したりするみなさんからお聞きする話は、ときに驚き、ときに笑いに満ちています。

 地味な出会い、地道な取り組み、当たり前の語り合いがやはり社会を変えたり、作ったりする力になるのだという確信めいた温かいものを感じました(つづく)。