大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2019年6月15日(土)第20回「センターの日」──毎日を楽しくするためには

第20回「センターの日」でお聞きした話

 天気予報どおりなら雨が降ってもおかしくないところ、「センターの日」をやっているあいだは晴れ間ものぞいていました。

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 「センターの日」の「昼回り」でお話をうかがっていると、南海ガード沿いの西側の人からは「夜はアルミ缶を集めに行って昼間休んでいる。でも電車の音がうるさくて寝付けない」という声を聞きました。東側の人にこの話をすると「こちらは午前中は日差しが強くてとても寝ていられない。午前3時ころからは人が集まり出して騒がしくなって落ち着かない」と言っていました。

 顔見知りの役所の職員から「センターの周りに寝ている人たちを無理やり追い出すようなことはしない」「消毒をするときは事前に告知する」と聞いたという話もありました(しかし、消毒は一ヶ月経っても実施されていないようです)。

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 ガード下に仮移転した西成労働福祉センターの前で休んでいる人にもお話を聞きました。「センターが閉鎖されてから、知り合いに会えなくなって困っている」というのです。センターのシャッター前に定位置を構えている人たちの中からは「知り合いが常に訪ねて来るのがたまに負担に感じる時もある」というような声もありました。

 これまでのようにセンターという溜まり場があれば「誰かがいるだろう」と訪れることができたし、「今はあまり人に会いたくない」となれば、センターそのものから距離を置くというふうに、適度な調整ができていたのだと思います。

 あいりん職安の待ち合いはあまり利用されていないようです。確かにずらっと並んだイスに座ってすごすのも変な感じです。禁酒の館もあるけど、酒もタバコも禁止という使い勝手の悪さもあるようです。萩の森予定地の「居場所」スペースも、もう少し暑くなってくると厳しそうです。

かき氷と映画

 家庭用の手回しのかき氷機を使ってかき氷の提供もしました。まだかき氷を食べるほどには暑くないということもありそうですが、昨年やった時のような大盛況というふうにはいきませんでした。センターが閉鎖されて、広場の真ん中に巨大な空箱が置かれたようになって、人の流れが寸断されてしまっている感じがします。

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 今回も映画(『釣りバカ日誌』の第一作目)は上映したのですが、スピーカーを忘れてしまったためか、前回以上に人の集まりは悪かったです。音が人を誘う効果もあるし、大音量で映画を見ることそのものの魅力もあるのかもしれません。

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 団結小屋のテントのなかを借りて映すにはさすがにもう暑いのではないかと思って、映画の準備を怠ってしまったのが失敗でした。しかし、やはりテントのなかで映画はいよいよ厳しくなるように思います(どこかほどよく薄暗いスペースがある良いのですが)。

センターをとりまく状況

 7月はセンターが閉鎖されてから三度目の「センターの日」になります。4月末の強制排除があり、5月末の荷物引き取り期限が過ぎ、先行き不透明なままセンターをとりまく状況は硬直状態に陥った感があります。

 「昼回り」や共同炊事が行われたり、団結小屋の寄り合いに集まる人も増えたりと、センター開放の取り組みのほうも定着していっているように見受けられます(一方で、この「騒動」が早く落ち着いてほしいと思っている人もいるでしょう)。

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 「センターの日」も、いったいどう続けていったらいいのか迷いながらやっています。しかし、必ず繰り返されることと、月に一回でも「この場所」を主体的に活用することそのものに宿る力を手繰り寄せたいと思っています。

スペインの時間銀行

 先日、スペインで広がっている時間銀行という取り組みについて聞く機会がありました。市場で流通している貨幣の代わりに用いられる地域通貨は有名ですが、時間銀行では、文字通りある人の時間と時間が交換されます。

 一人一人が自分にできること、誰かにやってもらいたいことを時間単位で出し合い、時間銀行がそれを仲介して、お金に頼らない地域での協力関係を作っていくというものです。

 やってあげる人がいてやってもらう人がいるので、半分の人は最初はマイナスからスタートすることになります。しかし、ある程度のマイナスは問わずに、まずは助け合いの輪を広げていくことを目指します。

 提供されるものに「こうでなければならない」というものはなく、「一緒にお酒を飲んで欲しい」というようなお願いもありです。「こんなニーズがあるのか」と発見していくこと、他人を理解し、自分を理解してもらうことが生活の豊かさを生んでいくのだと思います。

 「こんなことをやってもらいたい」「こんなことならやれる」というアイデアがあれば、聞かせて欲しいと思います。スペインで行われている時間銀行そのままの取り組みというのは難しいかもしれませんが、「センターの日」という場を使って、毎日が楽しくなるようなことを作っていけたら──そんなふうに考えています。