気がつけば夕暮れ近かった。
遠くに街の音を聞きながら、
他愛ないことのあれこれを考えていたら、
木もれ陽の心地よさに、
居眠りしていたようだ。
結局今日は何もしなかった。
何ひとつ考えが浮かんだわけでもない。
でも、ここへ来るまであった。
追われるようなあの焦燥感は
どこへ行ってしまったのだろう。
風におよぐ雲や小鳥のさえずりが、
木々の緑と花々の彩りが、
土のにおいとぬくもりが、
僕のからだ中にしみ込んで、
心を豊かにしてくれたような気がする。
こんな時間の過ごし方は忘れていた。
いつも何かをして外に働きかけ、
何もしていないと落ち着かない。
自分を解放すれば、
実に様々なものが話しかけてくれる。
何もしなくてもいい空間。
街とは違う時間がここには流れている。
こんな公園がもっとあれば、
いや、公園のように街が変われば、
人生はもっと豊かになるかもしれない。
(『大阪発・公園SOS』225-227頁より孫引き)