大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2016年7月17日(日)第2回哲学読書会『ツァラトゥストラかく語りき』1

 第2回哲学読書会はニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』の第1部について語り合いました。
 任意の章から話し始め、関連しそうな章と章を行ったり来たりしながら解釈を深めます。そうして読み合せていると、独立しているかに見える章も実はつながりがあり、前の章の内容が次の章の展開に対応しているらしいことに気づきます。
 例えば冒頭の「三つの変化について」に続く「徳の講座について」は、若者たちに尊敬されている賢者の講座に対してツァラトゥストラが内心でダメ出しするといった内容です。これからツァラトゥストラの教説が始まるにあたって、既存の権威を相対化するところから始まるわけです。
 終わり近くにある「子どもと結婚について」は、表面的には男女の結婚の理想を述べているようで、本質は超人になるための生き方と関係のあり方を提示した重要な章に思われます。一見してニーチェの女性観が示されているかのような「老いた女と若い女について」を照らし合わせて読むと、この章がなぜこの場所に設けられているのか、いかなる意図で書かれているのか、多様な解釈が可能になります。
 「ここは素朴にこういうことを言っているんじゃないか」「いや、そんな俗なことをわざわざ言う必要はないから、ここにも何か比喩があるはずだ」とメンバーそれぞれの読み方と食い下がることで一人で読んでいるのでは出てこなかっただろう着想にたどり着くことができます。こうした今後の読書会自体を実り多いものにしていく作法が自ずと確認できたという意味でも今回の読書会は面白いものになりました。