大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2021年9月2日(木)夜回り・情報共有していきましょう

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。東京オリンピックを強行した結果、わかりきっていた事態に陥ったというわけです。

 しかし、今回はこれまでと感触が異なります。というのは、本当に身近なところで感染者が出たり、感染者と接触した可能性があるといった話を頻繁に聞くようになったからです。ワクチン接種はようやく高齢者以外でも進んできたなという実感はありますが、ファイザー製ワクチンは徐々に効果が薄れてしまうという話も聞こえてきます。

 前回ご案内したように、野宿生活からのワクチン接種も可能になっています。しかし、ワクチンの副反応の可能性を考えると、打っていいものか悩む人もおられると思います。ワクチン接種から3日間の宿泊場所を用意してくれるところもあると聞きます。今後も、ワクチン接種やコロナ対応について情報を整理して、ご案内したいと思います。

 また「こういう場合はどうなるのか」「こんなことで困っている」といったことがあれば、教えていただけると助かります。みんなで知恵と情報を寄せ合って、乗り切りましょう。

2021年8月19日(木)夜回り・8月1日はそうめんを食べました/新型コロナウイルスワクチンの接種について

8月1日はそうめんを食べました

 8月の寄り合いは毎年恒例のそうめんでした。よろずの料理長Aさんのこだわりのつゆは粗熱も取れ、ひと欠けの氷を入れて、そうめんをつけると何杯もおかわりを誘いました。オクラやささみ、蒸し豚などの付け合わせのなかで、薬味のみょうがのみじん切りの美味しさが際立っていました。

新型コロナウイルスワクチンの接種について

 6月のビラで「65歳以上で居住が不安定な人」向けにワクチン接種の案内がされていることをお知らせしました。その後、どうやら65歳以下の人もワクチン接種の申請ができるようになったようです。

 一般の人には、すでにワクチンの接種券が郵送されています。家のない人はまず、この接種券を手に入れなければいけません。そのためには最寄りの区役所で申請が必要です。その際、身分証明書や住民登録は不要であるとのことです。次に、接種会場の予約が必要となりますが、この辺りの手続きも、区役所に何度か訪問しつつ、進めることになるようです。

 西成区にある釜ヶ崎支援機構では、路上生活者のワクチン接種のフォローをこまかなところまでしてもらえるようです。お急ぎのかたは一度支援機構に相談されるのがもっとも早道だと思います(裏面をご参照ください)。

 「できればワクチンは接種したいけど、どうしたらいいのかわからない」「気がかりなことがある」という方は、よろずでも個別に相談にのります。気軽にお申し出ください。

第45回「センターの日」のお知らせ

「センターの日」とは

 労働者の街として知られる大阪の釜ヶ崎は今、大きな再開発の波にさらされています。2012年に始まった西成特区構想による「まちづくり」も進められています。貧困層の追い出しをともなうジェントリフィケーションであるとの批判もあります。

 地域住民と行政が協同して地域を良くしようと努力しているとの主張がある一方、これまでと変わらない強制排除が幾度となく繰り返されています。真実はいったいどこにあるのでしょうか?

 労働者の街である釜ヶ崎に、あいりん総合センターという施設があります。センターは釜ヶ崎の中核とも言える場所です。このセンターの建て替え、閉鎖、仮移転がまちづくりの会議の中で決定しました。

 釜ヶ崎で何が起きているのか、私たちは何かできることはないのか、私たちは何を知るべきなのか。一から考えるために、私たちは2017年11月から月に一回、第三土曜日に釜ヶ崎のセンターで労働者の声を聞く取り組み、「センターの日」をはじめました。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター北西側の団結小屋周辺か高架下の駐輪場付近で、2021年8月21日(土)13時から16時に実施します(基本的に毎月第三土曜日)。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回 第23回 第24回(中止) 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回 第35回 第36回 第37回 第38回 第39回 第40回 第41回 第42回 第43回 第44回

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カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力下さい。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

2021年7月17日(土)「センターの日」——未来のことと現在のこと

2021年7月17日(土)第44回「センターの日」のあらまし

 ようやくかき氷が似つかわしい季節になりました。何人かの方に手伝っていただき、大変助かりました。シロップはイチゴが一番人気でした。練乳缶には二ヶ所穴を開けないといけないことを教わりました。

 たこ焼きプレートを使ってベビーカステラも作りました。紙コップに数個ずつ入れて提供しましたが、今後は竹串に刺して団子のようにしたらいいかも、というアイデアが出ています。

 素人散髪の用意もしていましたが、希望者はありませんでした。あまり多くは対応できないかもしれませんが、気軽にお声かけください。映画は「寅次郎忘れな草」を見ました。

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センターをめぐる動向

 8月8日(日)の夕方にセンターの未来を考える行動委員会の報告会が三角公園でありました。まちづくり会議の労働施設検討部会では、センターと第二住宅を解体した後の土地の南側に労働施設、北側に福利厚生施設を建てるという話が進められています。南側については、仮の図面をもとにすでに予算が組まれ、延床面積が約8,000平米と決まったそうです。

 しかし、この南側は大阪府の担当する労働施設であり、元のセンターのようなシャワー室や食堂などは設置されません。「そういった福利厚生施設は北側に」という話のようですが、北側の土地の権利を持つ大阪市はここに来て逃げ腰になっているそうです。行政は次々話をないがしろにしていきます。司会のかたが「ここでみんなが集会に集まっていることも力になると思う」と言われていたのも、なるほどそうかもしれません。

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代替地が作れなかったのか

 今さらのことかもしれませんが、いくつも施設を作ることになるなら、先に福利厚生施設を作るべきだったのではないかと思えてきます。元のセンターから切り離されている第二住宅の土地に、労働者の福利厚生や緊急避難にも使える施設を作り、その完成までセンターを利用できるようにするなど、段階的にことを進めれば良かったのではないでしょうか。将来どんな立派なセンターができようが、今センターを利用している人が困るようでは意味がありません。そのための要求を、その都度していかないと、釜ヶ崎の労働者の権利はずるずる奪われていくのではないでしょうか。

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今のセンターは治外法権

 計画中の南側の労働施設の1階の一部は、柱が立ち並んで24時間利用可能な開放空間になり、トイレや水場なども使えるような話でした。報告の中で「とはいえ、野宿する人が24時間使えるわけではない。今のセンターは治外法権のようになってしまっている。現役の労働者も野宿する人もお互い理解しながら、新しい労働施設をこれまでのように自分たちで管理していく必要がある」というような説明がありました。

 勘違いなのかもしれませんが、これを聞いていて、ちょっとびっくりしてしまいました。シャッターが降りる時にセンターから出ていかなければならなかったのは労働者による自主管理だったのかという疑問もありますが、野宿している人は将来の協力だけを求められて、置き去りにされているように感じました。未来のことと現在のこと、どちらも考えていかなければ意味がありません。

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2021年8月5日(木)夜回り・「ここにいる」について

 こんばんは。大阪城公園よろず相談です。

 7月8日の夜回りは雨のため中止になってしまいましたが、7月7日は七夕です。天の川をへだてて織姫と彦星が引き離されています。彼らは1年に1回しか会えないそうです。皆さんは短冊にどの様な想いを込めて、何を願い、どういう思いをしたでしょうか。

 さて、今回は「ここにいる」について書きます。人間の存在とは何でしょうか。常に問われています。5年前、神奈川県のある施設で元職員の男が入所している利用者を次々にナイフ等で傷つけ、19名の命が奪われるといういたましい事件がおきました。逮捕され、取り調べが行われていく中でその男が口にしてきたことは「障がい者には生産性がない」と障がいがある人に対して差別的ともとれる発言が繰り返しありました。

 「人間の存在」については障害者のみならず野宿者の人にも同じ事が言えます。何かと言えば罵声であるとか暴言、あるいは差別的なヤジを飛ばす、時には石を投げつけるなどをしてその場所から排除するかのような事を行うといったような行為は昔ほど減りましたが、根本として今も根付いているというのは現代の社会構造としてあるのだと思います。

 追われた野宿者は多数いました。今では釜ヶ崎の「あいりん総合センター」周辺の軒下ですんでいる人々に対して立ち退き訴訟もあります。制度という名の追い出しは人権侵害であり居住権を奪うという暴挙に出ているのです。

 それこそまさしく再開発であり「ここにいる」人々に対して人権無視と言わざるをえないのです。共通して言えるのは、障がい者であれ野宿者であれ、世界中で各々の問題をかかえている人々に対してその国の当局であるとか自治体が本人に向き合って施策を講じていけば少しの声でもあるとも思います。ところが、現実はそうではありません。行政はそういう立場にいる人たちに対して現状で言えばほとんど何もしていないというのが実情です。ということは置き去りにされているというのが当事者の感想です。

 「ここにいる」人々の声を聞かず、自分たちに都合がいいように物事を進め、その事に対して声を上げた人たちに対して何かといえば排除すると言ったような……。世の中どうなっているんでしょうか? 例えばよろず相談を含むいくつかのグループが「センターの日」というのをセンター前で開いています。私の個人的な感想ですが、皆さんが「ここにいる」ということを実感して、僕らもやはり話を伺うことで点と点が線となってつながり、それがいずれいくつかのコミュニティとして成形されていきます。人によって考え方はちがいます。年齢、経験、育った環境。個人の「ここにいる」線としてつながる「コミュニティ」まさに共通です。ゐと言うことを考えながら今日も夜回りをします。(の)

第44回「センターの日」のお知らせ

「センターの日」とは

 労働者の街として知られる大阪の釜ヶ崎は今、大きな再開発の波にさらされています。2012年に始まった西成特区構想による「まちづくり」も進められています。貧困層の追い出しをともなうジェントリフィケーションであるとの批判もあります。

 地域住民と行政が協同して地域を良くしようと努力しているとの主張がある一方、これまでと変わらない強制排除が幾度となく繰り返されています。真実はいったいどこにあるのでしょうか?

 労働者の街である釜ヶ崎に、あいりん総合センターという施設があります。センターは釜ヶ崎の中核とも言える場所です。このセンターの建て替え、閉鎖、仮移転がまちづくりの会議の中で決定しました。

 釜ヶ崎で何が起きているのか、私たちは何かできることはないのか、私たちは何を知るべきなのか。一から考えるために、私たちは2017年11月から月に一回、第三土曜日に釜ヶ崎のセンターで労働者の声を聞く取り組み、「センターの日」をはじめました。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター北西側の団結小屋周辺か高架下の駐輪場付近で、2021年7月17日(土)13時から16時に実施します(基本的に毎月第三土曜日)。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回 第23回 第24回(中止) 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回 第35回 第36回 第37回 第38回 第39回 第40回 第41回 第42回 第43回

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カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力下さい。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

2021年6月19日(土)第43回「センターの日」——センターに現れたゴミ山

第43回「センターの日」のあらまし

 例年だと6月はもう暑いので、かき氷を用意して行ったのに、あいにくの雨でした。それでもお付き合いいただいたみなさん、ありがとうございました。かき氷用に用意した練乳はインスタントコーヒーに流用されて人気でした。ビンにいっぱいだった砂糖も空になりました。

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 映画はここのところ男はつらいよに安易に逃げています。シリーズ49作目にあたる1997年の「寅次郎ハイビスカスの花 特別編」をみました。

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 以下では、久しぶりに「センターの日」に参加した仲間がみたセンターの印象を、夜回りのビラから転載します。

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センターに現れたゴミ山

 先日釜ヶ崎の、あいりん総合センターに行ってきた。久しぶりに行って、センター周辺に不法投棄のゴミがうず高く積もり、人がゴミに埋もれて寝ているという光景にショックを受けた。ゴミ山の向こうにいる労働者に「おーい!」と呼びかけると「なんやー」と返答。「この物品はあなた方のものですかー?!」と尋ねると「んなわけないやろー!全部他所から運び込まれて来るんやー!」

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 シャッターが降ろされてはや2年が過ぎ、かつて日本最大の寄せ場と言われ、全国に名を馳せた日雇い労働者の街は今、労働市場の新たなシステムに押され、名実ともに解体されようとしている。人夫出し産業が空洞化した街の暴動や貧困のイメージを刷新し、天王寺の裏町的なエリアとして付加価値をつけ、「新今宮ワンダーランド」「来たらだいたい、なんとかなる」「多様性と包容力に溢れた街」なんてキャッチコピーで街を売り出しているのだ。

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 その街の片隅で、難波宮で出会ったTさんが路上死したと聞いたのはまだつい最近のこと。「多様性と包容力に溢れて」いるはずなのに、この街では路上死がなくなっていない。誰がいつの間に捨てたのか、小さな悪意の集積のようなゴミ山が現れている。ここに人が住んでいることが見えないのか、ここを無法空間のように印象付けるためなのか、センターを廃墟と化して無きものにしようとする意図なのか、人間やその人々の生きた場所としての記憶、そういった尊厳なるものがこのように扱われていることに対して腹が立った。

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 絶賛発売中の多様性と包容力に溢れた街では、人間がゴミに埋もれて死んでいく。それは野垂れ死ぬ人々への制裁のように見えた。