大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2021年1月21日(木)夜回り・年末と年始をまたいで

年末と年始をまたいで

 新しい年もすでに半月が過ぎました。いかがお過ごしでしょうか。新年最初の夜回りでは、12月頭に失業し、1月の家賃が払えなかったため、大晦日を境に部屋を出て野宿をはじめたという方にお会いしました。いろいろ活用できる制度をご案内しましたが、「十日戎まではがんばる」とおっしゃっていました。釜ヶ崎のこともご存知のようなので、いざとなればどこかに相談しておられるかと思いますが、心配しています。

 あとで気づいたのですが、その方とは1年半ほど前にも別の場所でお話ししたことがありました。野宿しながら清掃の仕事をされていて、そこそこの稼ぎはあるけれど、部屋を借りるのは厳しいとお聞きした記憶があります。その後、部屋を借りて暮らしておられたということなのでしょう。

 釜ヶ崎のセンターでも、同じように12月に会社が倒産して、給料が入らず、1月の家賃が払えずに、1ヶ月ほど野宿生活をしているという方にお会いしました。お話をお聞きすると、2020年は2月頃より椎間板ヘルニアで半年ほど入院生活で、まともに働けなかったとのことでした。悪いことは重なるものです。

 このようにして路上でお会いして、お聞きする話から、この社会の見えないところで起こっていることをうかがい知ることができます。夜回りの中で知りえたことを念頭に、今年もできることややるべきことを模索していきたいと思います。今年も大阪城公園よろず相談をよろしくお願いいたします。

第38回「センターの日」のお知らせ

年初めはぜんざいから

 年初めはあんこを溶かして、おもちを入れて、ぜんざいをしたいと思います。

 釜ヶ崎の街とともに失われようとしているものは、守ろうとする前に、捕まえることすらおぼつかないもののように感じられます。捕まえることのできないものならば、こちらから捕まりにいこうとしたのが「センターの日」だったと言えるのかもしれません。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター正面付近で、2021年1月16日(土)13時から16時に実施します(基本的に毎月第三土曜日)。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです (第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回 第23回 第24回(中止) 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回 第35回 第36回 第37回)。

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カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力下さい。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

2020年12月19日(土)第37回「センターの日」——突然の雨と甘酒

第37回「センターの日」のあらまし

甘酒と炭火焼き

 今回も冬の定番の炭火焼きをしました。また、自家製の甘酒をいただいたので、こちらも温めて提供しました。

 昼過ぎまで晴れていたのですが、映画を再生して、肉を焼きはじめたあたりから小雨が降り出し、あっという間に本降りになりました。10月の雨の日の経験を活かして、金網の角にコンパネを載せて簡易屋根にして炭火焼きをしました。そばでずっと傘を差しかけてくださって、ありがとうございました。

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映画「王将」

 映画は1962年の三国連太郎主演の「王将」を観ました。白黒の映像ですが、出てくる風景や人びとを眺めているだけでも、興味を惹かれました。しかし、さすがに古過ぎたでしょうか。映画のセレクトはいつも難しいです。

 センターに貼ってある「センターの日」のビラを見て、楽器を抱えた若い女性が飛び入りで参加してくれました。東京から大阪に遊びに来ていて、何日かドヤに滞在しているとのことでした。彼女のリクエストで二本目に流した「男はつらいよ」は他の方にも喜んでもらえました。

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衣類のカンパ

 「センターの日」で必要な人に分けてあげてと、またカンパ物資をいただきました。暖かい上着や、パッチなどの衣類や腕時計もありました。皮ベルトや腰痛ベルトなどは胴回りが合わずになかなかもらい手が見つかりませんでしたが、最終的に全部無くなりました。

 カンパを下さった方には気持ちばかりのお礼に後で焼き芋を差し入れしました。ありがとうございました。

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年末の出来事

 みなさんご存知のこととは思いますが、2020年の11月、12月と相次いでセンターで亡くなった方がおられます。一人はいくつかの夜回り団体や医療センターから見守られながらも、受診に結びつかないまま亡くなったと聞きました。「センターの日」のビラを配るときに何度も話しかけ、最近は少しお話しできるようになった矢先でした。

 もう一人はバスのなかで亡くなられています。12月の「センターの日」の直前の出来事だというのにその時は知らなかった不明を恥じています。その後、その時のことやふだんの状況を知りたいと思い、何人かからお話を聞きました。バスのなかは夜回りではあまり確認されていないこと、バスの見守りに課題がありそうなことまではわかりました。

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 不法投棄がどんどん酷くなっていることも気になっています。多くの人の避難場所になっている場所が、裏返せば社会の目の行き届かない場所になっているのだと思います。

 「センターの日」は2017年11月から始めました。釜ヶ崎の街とともに失われようとしているものは、守ろうとする前に、捕まえることすらおぼつかないもののように感じられます。捕まえることのできないものならば、こちらから捕まりにいこうとしたのが「センターの日」だったと言えるのかもしれません。しかし、まとわりついてくるものに馴染みきれないまま、3年の日々が過ぎてしまった思いです。

12月27日(日)寄り合い——今年も年越しそば

 12月27日(日)は毎年恒例の年越しそばをしました。「そば用のつゆにした」とおなじみのAさんの語るそばつゆが今年も絶品でした。ふだんの持ち寄りごはんの時にも板前のキャリアを持つAさんが作ってくれるスープは、調味料を多用せずとも、素材の味を生かした美味しい仕上がりです。

 今年は2月の寄り合いの報告を最後に、寄り合いの記事を書いていませんでした。ふりかえれば今年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大一色で、5月から7月にかけては特別定額給付金に関する大阪市への申し入れも行いました。

 この状況で寄り合いをしていいのだろうかという迷いもありました。寄り合いというより、配食的な位置付けで、レトルトカレーとレトルトごはんを用意して行なった月もあります。その時に立ち寄って下さった方が、今回たまたま来られていて、久しぶりにお話しすることができました。大変な状況の中、どこでどうしておられるのかと気になっていたところ、再会して近況をお聞きできました。

 また、今回は生活困窮者の支援に関心があって、インターネットで見かけたよろずの活動に参加してみたいという方がいらっしゃいました。紙コップとビニール袋に一つひとつより分けて、から揚げとゆで卵を持ち寄って下さいました。ふだん夜回りでお会いする人たちのうち、昼間も居所のわかる人のところには寄り合いのご飯を差し入れすることにしているので、とても助かりました。

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 寄り合いの報告を書かないとブログは「センターの日」のことばかりになってしまいます。このブログは2016年2月末の大阪城公園市民の森の東家からの排除の後にはじめました。大阪城公園に600余りのテント小屋があった2002年頃から20年弱が過ぎ、路上をめぐる状況は変わりつつも、根本的なものは何も変わっていないと思います。しかし、そのことを示している人たちは減っています。

 新しく出会えるようになった人たちもいます。この人たちの歩む道もまた、変わらないものを示していくのかもしれません。しかし、その道はまだ現れていないように思います。また、それは、私たちがともに歩むことなくしては現れてこない道なのかもしれません。

 「センターの日」は2017年11月から始めました。釜ヶ崎の街とともに失われようとしているものは、守ろうとする前に、捕まえることすらおぼつかないもののように感じられます。捕まえることのできないものならば、こちらから捕まりにいこうとしたのが「センターの日」だったと言えるのかもしれません。しかし、まとわりついてくるものに馴染みきれないまま、3年の日々が過ぎてしまいました。

 私たちが目にしていることは大きな変化の一部なのだと思います。この変化は一部を見ているだけでは全体を見誤ってしまいます。しかし、その一部をも見ていなければ、変化に気付くことすらできません。近づくことと離れることとを同時に行なっていく必要があります。


 このブログやTwitterを通して、よろずの活動を知ってご支援下さった皆様に改めてお礼を申し上げます。この一年、二年は新聞でよろずの活動を取り上げていただくこともありました。基本的に地味な持続であるよろずの活動はわかりやすい成果を見せることができません。だからこそ、日々の活動報告をしっかりやっていく必要があるのかもしれません。しかし、今年は手が回りきらず、疎かになってしまいました。

 このような状況が来年になれば好転するのかどうか、正直自信がありません。この5年間やってきたことがまったく別物になってしまうのか、それともこの先に何かが見えてくるのか。いずれにせよわかるでしょう。

2020年12月17日(木)夜回り・今年最後の夜回り

今年最後の夜回り

 今回は今年最後の夜回りになります。よろずの夜回りは隔週の木曜日なので、本当は12月31日が残されているのですが、この日はお休みさせていただき、年明け最初の木曜日である1月7日から夜回りをはじめます。

今年最後の寄り合いは年越しそば

 今年最後の寄り合いは12月27日(日)に、いつもの時間、いつもの場所で行います。毎年恒例の年越しそばにしたいと思います。よろずの寄り合い名物の炊き込みごはんも用意してお待ちしています。

コロナ禍のなかで

 大阪では新型コロナウイルスの感染がますます拡大し、金持ちに便宜をはかることと自分たちの政治権力を強めることにしか興味のないバカな政党所属の首長たちは、自分たちの無策をごまかすためにテレビ出演に熱心です。最近では大阪市立の高校を大阪府に無償譲渡するというバカな決定が大阪市会を通過しました。

 緊急事態宣言が明けた頃には「ポストコロナ」「アフターコロナ」といった言葉があちこちでつぶやかれていましたが、最近はそれどころではない様子です。しかし、すでに私たちはコロナ後の世界に生きています。コロナ以前の関係を引き継ぎながら、どこにたどりつけるのかを探っています。

来年もよろしくお願いいたします

 「来年は飛躍の年に!」などという決まり文句がありますが、そのような宣言をしたことを一年後に振り返る人はほとんどいないのではないでしょうか。そう考えれば、このような言葉は思考放棄でしかありません。

 来年を夢見るのではなく、今からでも、明日からでも、何かがよくなることを信じて、今日も歩きはじめたいと思います。来年もどうぞよろしくお願いします。

第37回「センターの日」のお知らせ

「センターの日」は三周年

 2017年11月にはじめた「センターの日」は前回で三周年を迎えました。センター閉鎖前にセンター内でやっていた回数と、センター閉鎖後に外でやってきた回数とが並んだことになります。

 むき出しで、皮膚感覚でわかりあう必然性がセンターにあります。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター正面付近で、2020年12月19日(土)13時から16時に実施します(基本的に毎月第三土曜日)。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです (第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回 第23回 第24回(中止) 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回 第35回 第36回)。

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カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力下さい。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

カンパのお礼

昨年末から9月現在まで、大阪城公園よろず相談のゆうちょ口座宛に、合計21,000円ものご寄付をいただきました。どうもありがとうございます。

「センターの日」をはじめ、ふだんの夜回りや寄り合いなどの活動資金として活用させていただきます。引き続きよろずの活動を見守ってくださると幸いです。

2020年11月21日(土)第36回「センターの日」——センターと路上

第36回「センターの日」のあらまし

 11月の「センターの日」は、天気がよかったせいか、開始前からたくさんの人が待っていて、16時過ぎの終わりまでにぎわっていました。映画はシリーズの2作目「続・男はつらいよ」を観ました。天気がいいとモニターがほとんど見えないのが困りものです。パソコンのディスプレイはテレビほど発色もよくありません。

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手羽先を焼いてみました

 今回は手羽先をメインに焼いてみました。あらかじめ包丁で切れ目を入れておいたので、火の通りも良かったように思います。
 カンパでいただいたじゃこ天もしょうゆで美味しくいただきました。そのほか、ウィンナーやさつまいも、切りもちなどの差し入れをいただきました。ありがとうございました。あれこれ口出ししながらみんなでコンロを囲むのは妙に楽しいものです。

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三周年を迎えて

 2017年11月からはじめた「センターの日」は三周年を迎えることになりました。三周年を迎えるからどうだということはないのですが、センターの中でやっていた回数とセンターが閉鎖されてから外でやっている回数とがちょうど半々になりました。

 バーベキューコンロを使ったり、持ち運びできるバッテリーを使ってモニターで映画を見たり、閉鎖後にやりはじめて定着したことがあります。かき氷は閉鎖前にはじめたことでした。昔の写真をセンターの壁面にたくさん貼り付けて、通りすがりの立ち話をうかがったことも思い出されます。

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センターと路上

 お話を聞いていて、「センターが無くなると困る」とは、ほとんどの人に一致した意見でした。しかし、センターは建造物として、いろいろ便利だけど、居心地を考えると必ずしも快適というわけではありません。半分は野外のような作りで、1階は強風が吹き抜けていきます。

 よろずや釜パト、仲間の会で私たちがふだんしている夜回りでは、路上や公園で野宿しているところへお邪魔します。鍵のかけられる扉も、外部から遮断してくれる壁もない、むき出しの寝所へ夜回りは不意打ちでやってきます。相手をする義務はないけれど、無視をするにもわずらわしさがあります。私たちもそれは承知の上でやっているところがあります。

 ところが、初対面の得体の知れないもの同士であるにもかかわらず、何の前置きもなく、当たり前の会話を交わせることがあります。みなさんがそういう応対の仕方に慣れているということもあるでしょうが、路上で出会うこと自体が、このような関係を可能にする部分があるのだと思うのです。

 そして、センターはそのような路上の原体験と地続きな力を持っているように思います。決して居心地のいい場所とは言い切れなくても、お互いむき出しの路上で、皮膚感覚でわかりあう可能性が開かれているのではないでしょうか。

 むき出しで、皮膚感覚でわかりあう必然性を措いて構想されるセンターは、私たちが知るセンターにはなりえないように思います。

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