大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2020年12月3日(木)夜回り・最近のできごと

 いよいよ寒くなってきました。しかも年の瀬が迫って参りました。新型コロナウイルスは感染拡大の勢いを増し、これは来年も大変な年になるなと継ぐ言葉もありません。

 最近ではアルミ缶を売りに行くにもスーパー玉出に行くにもマスクが必要になったとの声を夜回りでも聞きます。よろずの夜回りでは最近マスクとともに、カイロの配布もはじめました。

 釜ヶ崎のあいりん総合センターの敷地からの立ち退き訴訟は、判決が確定する前に「仮処分」という方法で追い出しをかけようという考えを大阪府は持っていたようですが、暴力的な占有の事実はなく、喫緊の課題ではないとして、これは却下されてしまったようです。

 新型コロナウイルスで困窮に陥った人のための給付金も、そろそろ期限切れが迫り、年末年始にかけていよいよ追いつめられる人が路上に現れるのではないかとの予測もあります。

 大阪城公園よろず相談は変わらぬ活動で、路上で出会うみなさんとの出会いと出来事から、助けあって、自分らしく、ともに生きられる社会を歩みたいと思います。

第36回「センターの日」のお知らせ

「センターの日」は三周年

 2017年11月にはじめた「センターの日」は今回で36回、三周年を迎えました。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター正面付近で、2020年11月21日(土)13時から16時に実施します(基本的に毎月第三土曜日)。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです (第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回 第23回 第24回(中止) 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回 第35回)。

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カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力下さい。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

カンパのお礼

昨年末から9月現在まで、大阪城公園よろず相談のゆうちょ口座宛に、合計21,000円ものご寄付をいただきました。どうもありがとうございます。

「センターの日」をはじめ、ふだんの夜回りや寄り合いなどの活動資金として活用させていただきます。引き続きよろずの活動を見守ってくださると幸いです。

2020年10月17日(土)第35回「センターの日」——雨の一日

予定していた映画観られず

 9月に1954年の『ゴジラ』を観た流れで、大阪にゴジラが上陸する1989年の『ゴジラVSビオランテ』を観る予定だったのですが、モニターに出力することができませんでした。この間まではできたことが、機械の都合でできなくなっていました。仕方ないので、別の映画でその場をしのぎました。

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雨の一日

 また、この土曜日は狙ったかのように雨が降りました。コンパネを金網の上に渡して屋根を作って、その下で鶏もも肉やウィンナー、おもちを焼いて食べました。

 いつもお昼の時間帯にいる弁当やDVDを売っている露店もなく、センター周辺は人影がまばらでした。萩の森予定地のテントの下は人が集まっていました。何はなくとも屋根があることの大切さがうかがえます。人間にとって屋根とはいったい何なのだろうかと考えさせられます。

 こんな人の集まらない雨の日にこの「センターの日」とやらをやる必要があるのだろうかと一瞬、自分で疑問に思えてしまうこともありましたが、「コーヒーある?」と訪ねてきてもらえるのが嬉しい限りです。

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この半年をふりかえると

 10月から11月にかけての一ヶ月で、震えが来るような寒い日があったかと思えば、まだマシな暖かな日が訪れ、どんなに暑い夏が来てもいずれ冬が来るのだなと当たり前のことを不思議に感じます。

 センターに対する強制立ち退きも今来るかもう来るか、まだしばらく来ないのではと、先の見えないまま季節だけは移り変わろうとしています。

 5月から7月にかけては、住民登録のない人への特別定額給付金の給付を求めて、市役所に何度も通ったのが遠い昔のようです。あの住民投票も、否決という結果で終わってしまえば、早くもつかみどころのない日常に戻ってしまいました。

 新型コロナウイルスはすでに第一波以上の勢いで広がっているのに、GOTOキャンペーンやオリンピックのことばかりです。

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ああでもなくこうでもなく

 大切なものは、やはり見ようとしなければ見えないし、つかもうとしなければつかめないのだと思います。しかし、同時に見ようとするから見えなくなり、つかもうとするからつかめなくなることもあります。

 日々の営みとして繰り返されることは、仕方ないからそうしているだけであったり、結果的にそうしているだけで、必ずしも特別な意味があるわけではありません。

 何かが存在しなければ、存在しないことを意識することはできません。何も存在しないところから何かの存在に気づくということはありません。それなら、見えるものを見ているからこそ、見えないものを見ることもできることになります。

 私たちに何か力があるとすれば、取るに足らない繰り返しのなかにも、その力を引き出す道筋は描かれているでしょう。何もないところで何かを繰り返すことはできません。

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2020年10月17日(土)第35回「センターの日」——雨の一日

予定したいた映画観られず

 9月に1954年の『ゴジラ』を観た流れで、大阪にゴジラが上陸する1989年の『ゴジラVSビオランテ』を観る予定だったのですが、モニターに出力することができませんでした。この間まではできたことが、機械の都合でできなくなっていました。仕方ないので、別の映画でその場をしのぎました。

雨の一日

 また、この土曜日は狙ったかのように雨が降りました。コンパネを金網の上に渡して屋根を作って、その下で鶏もも肉やウィンナー、おもちを焼いて食べました。

 いつもお昼の時間帯にいる弁当やDVDを売っている露店もなく、センター周辺は人影がまばらでした。萩の森予定地のテントの下は人が集まっていました。何はなくとも屋根があることの大切さがうかがえます。人間にとって屋根とはいったい何なのだろうかと考えさせられます。

 こんな人の集まらない雨の日にこの「センターの日」とやらをやる必要があるのだろうかと一瞬、自分で疑問に思えてしまうこともありましたが、「コーヒーある?」と訪ねてきてもらえるのが嬉しい限りです。
この半年をふりかえると

 10月から11月にかけての一ヶ月で、震えが来るような寒い日があったかと思えば、まだマシな暖かな日が訪れ、どんなに暑い夏が来てもいずれ冬が来るのだなと当たり前のことを不思議に感じます。

 センターに対する強制立ち退きも今来るかもう来るか、まだしばらく来ないのではと、先の見えないまま季節だけは移り変わろうとしています。

 5月から7月にかけては、住民登録のない人への特別定額給付金の給付を求めて、市役所に何度も通ったのが遠い昔のようです。あの住民投票も、否決という結果で終わってしまえば、早くもつかみどころのない日常に戻ってしまいました。

 新型コロナウイルスはすでに第一波以上の勢いで広がっているのに、GOTOキャンペーンやオリンピックのことばかりです。

ああでもなくこうでもなく

 大切なものは、やはり見ようとしなければ見えないし、つかもうとしなければつかめないのだと思います。しかし、同時に見ようとするから見えなくなり、つかもうとするからつかめなくなることもあります。

 日々の営みとして繰り返されることは、仕方ないからそうしているだけであったり、結果的にそうしているだけで、必ずしも特別な意味があるわけではありません。

 何かが存在しなければ、存在しないことを意識することはできません。何も存在しないところから何かの存在に気づくということはありません。それなら、見えるものを見ているからこそ、見えないものを見ることもできることになります。

 私たちに何か力があるとすれば、取るに足らない繰り返しのなかにも、その力を引き出す道筋は描かれているでしょう。何もないところで何かを繰り返すことはできません。

2020年11月5日(木)夜回り・「大阪市を守ろう」と言うけれど

大阪市を守ろう」と言うけれど

 先週の日曜日、大阪市では住民投票がありました。大阪市を廃止して特別区を設置することの賛否を問うもので、2015年に行われたのと同じものです。結果は約17,000票差で否決されました。

 反対を呼びかける側は「大阪市を守ろう」と呼びかけていました。呼びかけに加わって活動している人たちも、自分が生まれ育った、愛着のある大阪という街を守ろうという思いが強い人たちであったように思います。

 この十数年の大阪市政を路上から見てきた身からすると、「大阪市を守る」という言葉に素直に賛同できないところがあります。つい最近の出来事を振り返ってみても、特別定額給付金は路上やネットカフェなどで暮らす人びとに対する配慮はほとんどありませんでした。

 もっとも、ここで守ろうと言われている「大阪市」はこの街で暮らす一人ひとりの生活であり、その思い入れを指しているのかもしれません。このようなことは、大阪市だとか、大阪都だとかで判断されるようなことではないでしょう。

カンパのお礼

昨年末から9月現在まで、大阪城公園よろず相談のゆうちょ口座宛に、合計21,000円ものご寄付をいただきました。どうもありがとうございます。

「センターの日」をはじめ、ふだんの夜回りや寄り合いなどの活動資金として活用させていただきます。引き続きよろずの活動を見守ってくださると幸いです。

第35回「センターの日」のお知らせ

炭火焼き始めました

 先月から炭火焼を始めました。お金の問題もあるので、あまりあれこれ焼くことはできませんが、差し入れ歓迎します。

 維新政治の成果の一つとしてアピールされている西成特区構想、センターの行方も大阪市の行方も来月にはまた大きく動いているかもしれません。「センターの日」は毎月路上からこれらの事態を見つめています。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター正面付近で、2020年10月17日(土)13時から16時に実施します(基本的に毎月第三土曜日)。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです (第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回 第23回 第24回(中止) 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回 第31回 第32回 第33回 第34回)。

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カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力下さい。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

カンパのお礼

昨年末から9月現在まで、大阪城公園よろず相談のゆうちょ口座宛に、合計21,000円ものご寄付をいただきました。どうもありがとうございます。

「センターの日」をはじめ、ふだんの夜回りや寄り合いなどの活動資金として活用させていただきます。引き続きよろずの活動を見守ってくださると幸いです。

2020年9月19日(土)第34回「センターの日」——路上の権利の二つの顔

第34回「センターの日」のあらまし

 もうかき氷でもないかなと9月の「センターの日」はおなじみのバーベキューコンロで炭火焼をしました。カンパでいただいた冷凍カレイをひっきりなしに焼き切りました。塩こしょうにしょうゆをたらして食べると唾液がわきでる味わいでした。洋食のコックの修業をしていたという方が上手に焼いて下さいました。

 「今日はかき氷はないの?」との声もありました。火は焚けても冷たいものは手に入りにくい野宿生活、かき氷は結構楽しみにしてもらえるのかなと思いました。

 映画は1954年公開の一作目の「ゴジラ」をみました。いつもと違うモニターを持ってきたら、ケーブルの種類が違って写せないというポカをまたやらかしてしまい、自転車を走らせてモニターを交換してきました。開発者の芹沢博士自らゴジラを殺すためのオキシジェン・デストロイヤーの設置に出向いた理由は、頭の中の設計図ごと危険な兵器を葬るためでした。

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追い出しの壁

 医療センターの移転先の建物が完成し、センター敷地内でくらす人びとに対する立ち退き訴訟が進められています。立ち退きに対する反論文書への大阪府の反論を読むと、最初から一切ゆずる気のない高圧的な文章に疲労感をおぼえました。「野宿せずに済むような配慮は示してきた」「ボトムアップのまちづくりの取り組みの結果である」などと書かれているのを読むと、これはもうコミュニケーションではなく、壁を作りたいだけなのだとぐったりさせられます。

 突きつけられた理屈に理屈を返すと、その理屈にしばられるようになります。かといって、のらりくらりとやり過ごすのが正解とも言い切れない難しさもあります。しかし、そうやって一つの場所に押し込められることにも抗う必要があるのだと思います。

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路上の権利の二つの顔

 「野宿は劣悪な生活状態であり、望ましいものではない。生活保護を受けてまずは落ち着けるようにするべきだ」とよく言われます。生活保護を受ける権利があるという意味で、野宿者にも人権はあるようです。しかし、裏を返せば、生活保護を受ける権利しかありません。野宿者の人権は生活保護を受けるまで留保されていることになります。なぜなら野宿生活は「その人のためにも望ましくない」からです。野宿者は望ましくない存在として扱われており、そういう意味では人権を持つ主体とは思われていないことになります。

 「路上の権利」という言葉を私たちは使ってきました。これは端的にいえば「追い出されない権利」であり、自分の意思を尊重されることです。しかし、本当はこんなものは路上でなくても守られなければならないことだし、路上においても守られなければならないことです。「路上の」とつけなければならないことで、すでに一歩後退した位置に立たされています。

 あったりなかったりする、物のような人権や権利ではなく、人と人が向き合ったときに実現していくものとして、現実をとらえなおしていかねばなりません。

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カンパのお礼

昨年末から9月現在まで、大阪城公園よろず相談のゆうちょ口座宛に、合計21,000円ものご寄付をいただきました。どうもありがとうございます。

「センターの日」をはじめ、ふだんの夜回りや寄り合いなどの活動資金として活用させていただきます。引き続きよろずの活動を見守ってくださると幸いです。