大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2018年3月24日(日)寄り合い──「公園がにぎわって何が悪いの?」

 今回は、寄り合いの午前中から、41日の「お花見有料化粉砕デモ」で用いる旗作りをしました。

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 遠くから見てもわかるように、漢字を独特の形に崩します。崩し方に決まりがあるわけではないので、人によっていろんなバリエーションがあるそうです。

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お花見バーベキュー完全有料化がなぜ悪いのか

 「和ーべきゅう」と称して、ちょうど寄り合い前日の土曜日から完全有料バーベキューゾーンがはじまりました。

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 白いカラーコーンとカラーバーで仕切られており、「予約者以外立ち入り禁止」と書かれてた札が下がっています。バーベキューをする権利だけでなく、公園の空間そのものに値段をつけたことが明らかになりました。

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 「プレミアムゾーン」と名付けられたお花見一等地の端っこだけは、一般利用に残された形で、シートを敷いた人たちの姿がありました。バーベキュー客たちをテレビのカメラとレポーターが取材して、乾杯のポーズを撮っていました。

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 事前の告知がほとんどなく、寝耳に水という人も多いはずです。何人もの人がバーベキュー完全有料化の立て看板に見入っていました。

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 「ごみの不法投棄」と「無秩序な場所取り」を有料化の理由としています。しかし、花見シーズに設置されるゴミ箱(バッカン)は今回も設置されています。ゴミ箱を設置して「不法投棄」を理由にするのもおかしな話です。

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 問題はむしろ、日常の家庭ゴミを置き去る行為の方で、この不法投棄と意図的に混同させているような感じもします。ゴミといえば、スタバやジョーテラス大阪から出るテイクアウトのゴミの散乱がすさまじいことになっているようです。

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 バーベキュー有料化について、「花見をすればゴミを放置していく者がいるから、維持管理のために有料化は仕方ない」という意見がまま見られます。もっともらしく思えますが、そうした維持管理と費用を負担することと引き換えに、指定管理者は大阪城公園で収益事業を行える契約です。バーベキュー有料化は契約違反であり、市民への二重課金のようなものです。

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 また、指定管理者が設置した商業施設が出すゴミが恒常的な問題になっている現状を見れば、ゴミの管理はますます指定管理者の仕事です。森之宮駅側の商業施設がオープンすれば、ゴミの問題はさらに深刻になるでしょう。

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 バーベキュー完全有料化の問題は、お花見のマナーなど、切り取られた場面を見ていてはわかりません。公園を取り巻くいろんな事実と照らし合わせながら理解する必要があります。

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森の樹木を大量に伐採

 よろずでは2週間に1回の夜回りを行なっており、大阪城公園とその周辺の変化に気づくことがあります。この前の週の夜回りで、玉造筋側のかなり広い範囲が白い鉄板で覆われていることに気づきました。

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 323日の大阪市の報道発表によって、吉本興業や民放5社などの13社による「クールジャパンパーク大阪」という劇場が作られることがわかりました。

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 吉本興業の「エンタメパーク構想」については1年前から報じられていました。これまでのジョーテラス大阪、森之宮駅側の噴水周辺の商業施設もそうですが、これらは何の予告もなく公園の一角が鉄板で覆われ、木を切り、土を掘り返したのちに、その詳細が公表されます。水面下で計画を温め、もう元に戻せないようなところまで手を入れてから市民に知らせるというだまし討ちのようなことがされています。

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 「クールジャパンパーク大阪」予定地の森の伐採にはすさまじいものがあります。よろずのツイッターで写真と動画を投稿したところ、これまでにない反響がありました。公園が破壊されたことへの驚きと怒りも多いのですが、居丈高な賛同も反論として少なくありません。

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 「来場者が増えて公園に活気が出て、一体何の不満があるのか」。「お前らおかしいんじゃないのか」と言わんばかりの反論がかえってきます。

 この人たちは根本的な勘違いをしています。もともと魅力的な公園に商業施設ができれば、商業施設の利用者にとって「魅力的」でしょう。しかし、この人たちは商業施設の「利用客」であり、商業施設が公園の魅力を一方的に吸い上げているだけです。

「公園がにぎわって何が悪いの?」

 来園者が多いことを「活気がある」「公園として成功している」根拠とする主張も定番です。公園が人で溢れかえっているのは都市に公園が足りていないことの裏返しでもあります。公園内に商業施設など作らなければより多くの人に楽しんでもらえるでしょう。

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 「公園はみんなのもの」とはよく聞く言葉です。その分ごまかしに使われやすい言葉でもあります。消費文化に楽しみを見出したい人を喜ばせるために公園を商業化する必要はありません。本来公園を必要としていない人たちが喜んでいても公園のにぎわいを測る指標として意味がありません。

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 この日の大阪城公園の市民の森は家族連れがシートを敷き、日よけドームを立ててひしめき合っていました。この人たちはPMO事業によって作られた施設を利用しに公園を訪れたわけではありません。暖かな日差しの下でのんびり過ごしたくて来ているのです。

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 劇場はそのための空間を奪いました。劇場は直接的な面積として「のんびり過ごすための空間」を潰しましたが、劇場がオープンすれば、劇場周辺の空間も侵食していくことはまちがいありません。

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劇場へ行きたければ劇場へ

 エンタテインメントの劇場やレストランに行きたければ、お金を払って劇場やレストランに行けばいいだけの話です。営利企業は自分できちんとお金を出して魅力的な商業施設を作ればいいでしょう。公共空間を安く手に入れて収益を上げたいのが本音の企業に、市民のための公園の管理などできません。

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 園路では一輪車や太鼓のサークルが練習する姿も見られますが、ロードトレインが道の真ん中を通り過ぎるので、かつてより隅に追いやられています。ランナーや普通の利用者も、歩くだけで注意を求められます。レジャーランドに作り変えられ、レジャーランドとしてきらびやかな部分を公園の魅力と錯覚してしまいがちですが、もともと持っていた公園の魅力はどんどん損なわれています。

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大阪城公園から失われた森

 大阪城パークマネジメント事業がはじまってから多くの森が失われています。弓道場の北側の駐車場も事業の中で新設されたものなので、大阪城公園の東側一面の森の大半が持っていかれたことになります。この間たったの3年です。

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 Googleストリートビューに公園内の画像がまだ残っています。前後で見比べると目を疑うような破壊行為が行われたことがわかります。

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 ツイッターであおむらさきさんが作成してくださった動画がよくまとまっていて、わかりやすいのでぜひご覧ください。

twitter.com

公園は誰が来てもいい

 今回はいつもの持ち寄りご飯でした。一人当たりの持ち寄り数が多く、盛り合わせてみると思いのほか豪華で、あっというまに食べ終わってしまいました。

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 公園は他に居場所のない人たちが身を休める場所にもなっているエピソードをいくつか聞きました。

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 最近ごぶさたしていた人たちも久しぶりに顔を見せてくれて、暖かな好天のもと良い寄り合いとなりました。

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