大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2019年7月18日(木)夜回り・G20にともなう追い出し・排除/NO TAV運動の地へ(イタリア報告その5)

G20ジートゥエンティ)にともなう追い出し・排除

 前回の夜回りでG20前後の大阪城公園難波宮跡公園近辺の様子をうかがいました。

 修道館が機動隊の待機場所になったり、大阪城公園内に入る際に検閲を受けたりといったことはあったものの、公園内から完全にしめ出しを食らうということはなかったようです。「アルミ缶集めができなくて困ると思っていたが、気にせず出す人が結構いたため、何とかなった」と冗談交じりのエピソードもお聞きしました。

 しかし、場所によってはあからさまに出ていくような圧力をかけられ、実際に出て行かざるをえなかったという怒りの声もありました。警察が四六時中うろついていて、これはたまらんと釜ヶ崎に避難した人もいます。

 みなさんさまざまな経験をされたことと思います。またお話を聞かせてください。

NO TAV運動の地へ(イタリア報告その5)

 トリノの二日目はアルプスの山あいにあるスーザ渓谷へ向かいます。

市場で買い出し

 朝早くから連れだってトリノ市内の広場にある市場へ向かい、昼食のパンと何種類ものハム、チーズ、そしてフルーツを買いました。市場の店先に吊るされた何十種類とあるチーズや、解体されたまま売られている肉、積み上げられた透明な小さなボックスにいっぱいのキャンディやチョコレートにも目をひかれました。

 ピザのようにさまざまなトッピングがされたパンを四角にカットしたものを買って食べるとあまりの美味しさに感動しました。これぞ旅先で味わう「現地のうまいもの」という感じです。

新幹線で小一時間

 スーザ渓谷に行くには、まずトリノのポルタ・ヌォーバ駅から終点のスーザ駅まで新幹線に乗らなければなりません。スーザ駅の周りはアルプス山脈の玄関口なのでしょう。カラフルなレストランや民宿らしき建物が見られました。そこからバスで十数分、山道を抜けると開けた風景にたどり着きました。

 何かの会社の真新しい建物と敷地があったり、立派な庭付きの家々が点在しており、山奥という感じはしません。何か穀物を栽培しているふうでもない草原が広がっており、牧畜が行われているのかもしれません。

NO TAV(高速鉄道反対)運動の拠点の小屋へ

 草原の中に小屋が建っていて、これがNO TAV(ノータブ)運動の拠点となっている小屋でした。この日は週に一回木曜日に実施されている一品持ち寄りの夕食会で、それに参加することがいちおうの目的です。

 三月だというのに柔らかい暖かな日差しがこぼれています。外のテーブルとイスをお借りして昼食にしました。案内役の旧友によればイタリア人の日常の食事にはこだわりがなく「美味しいのはチーズとハムくらい」だそうですが、たしかにこれらをはさんで食べるパンは絶品でした。

 都市部では飲み水は買わなければならないところ、アルプスではきれいな雪解け水を思う存分飲むことができました。小屋のおじさんにこの水の美味しさを伝えると「でも、ワインの方が美味しいよ」と笑顔でワインを一本ふるまってくれました。

あちこちに「NO TAV」の文字

 このNO TAV運動は、アルプスを貫通してフランスとイタリアをつなぐ高速新幹線に反対するものです。新たに作らなくともフランスとイタリアをつなぐ新幹線がすでにあり、高速道路も通っています。「このうえ自然を破壊するだけの高速新幹線など不要だ」と地元の人たちが立ち上がり、今やイタリア国内だけでなく、世界的に有名な住民運動として注目を集めています。気をつけてみていると、新幹線の車窓から見える風景やトリノ市の街中でも

「NO TAV」の文字を見つけられます。

 小屋のあるところは当初のトンネル工事の開始地点だったそうです。大規模なデモの効果もあり、反対運動は工事を止めることに成功しました。しかし、政府と建設会社はさらに山奥の見えづらい場所からトンネル工事を強行しはじめました。夕食会はその現場で行われています(つづく)。

 

第21回「センターの日」のお知らせ

センター開放闘争が行われています

 3月31日に閉鎖されようとしたセンターは、反対に集まった人びとによって限定的ながら24時間開放を実現したのもつかのま、機動隊の強襲を受けて強制排除されました。

 現在はシャッターの前に拠点を設け、抗議行動を続けています。この場所に繰り返し訪れることが都市空間の統治に裂け目を作る力になります。「センターの日」をきっかけにお越しください。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター正面付近で、2019年7月20日(土)13時から16時に実施します(毎月第三土曜日)。

 古本放出はとても人気があります。特に読み終えた時代小説を寄付いただけると大変喜ばれます。古本チェーン店では二束三文にしかならない本の有効活用をお考えの方はぜひ「センターの日」にお持ち下さい。

 現在はセンターに図書室が設置されています。本棚はつまっているものの、固い本ばかり残っていて、品揃えに少し難があるようです。古本の寄付をお待ちしています。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです (第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回)。

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カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力いただけると幸いです。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

2019年6月15日(土)第20回「センターの日」──毎日を楽しくするためには

第20回「センターの日」でお聞きした話

 天気予報どおりなら雨が降ってもおかしくないところ、「センターの日」をやっているあいだは晴れ間ものぞいていました。

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 「センターの日」の「昼回り」でお話をうかがっていると、南海ガード沿いの西側の人からは「夜はアルミ缶を集めに行って昼間休んでいる。でも電車の音がうるさくて寝付けない」という声を聞きました。東側の人にこの話をすると「こちらは午前中は日差しが強くてとても寝ていられない。午前3時ころからは人が集まり出して騒がしくなって落ち着かない」と言っていました。

 顔見知りの役所の職員から「センターの周りに寝ている人たちを無理やり追い出すようなことはしない」「消毒をするときは事前に告知する」と聞いたという話もありました(しかし、消毒は一ヶ月経っても実施されていないようです)。

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 ガード下に仮移転した西成労働福祉センターの前で休んでいる人にもお話を聞きました。「センターが閉鎖されてから、知り合いに会えなくなって困っている」というのです。センターのシャッター前に定位置を構えている人たちの中からは「知り合いが常に訪ねて来るのがたまに負担に感じる時もある」というような声もありました。

 これまでのようにセンターという溜まり場があれば「誰かがいるだろう」と訪れることができたし、「今はあまり人に会いたくない」となれば、センターそのものから距離を置くというふうに、適度な調整ができていたのだと思います。

 あいりん職安の待ち合いはあまり利用されていないようです。確かにずらっと並んだイスに座ってすごすのも変な感じです。禁酒の館もあるけど、酒もタバコも禁止という使い勝手の悪さもあるようです。萩の森予定地の「居場所」スペースも、もう少し暑くなってくると厳しそうです。

かき氷と映画

 家庭用の手回しのかき氷機を使ってかき氷の提供もしました。まだかき氷を食べるほどには暑くないということもありそうですが、昨年やった時のような大盛況というふうにはいきませんでした。センターが閉鎖されて、広場の真ん中に巨大な空箱が置かれたようになって、人の流れが寸断されてしまっている感じがします。

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 今回も映画(『釣りバカ日誌』の第一作目)は上映したのですが、スピーカーを忘れてしまったためか、前回以上に人の集まりは悪かったです。音が人を誘う効果もあるし、大音量で映画を見ることそのものの魅力もあるのかもしれません。

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 団結小屋のテントのなかを借りて映すにはさすがにもう暑いのではないかと思って、映画の準備を怠ってしまったのが失敗でした。しかし、やはりテントのなかで映画はいよいよ厳しくなるように思います(どこかほどよく薄暗いスペースがある良いのですが)。

センターをとりまく状況

 7月はセンターが閉鎖されてから三度目の「センターの日」になります。4月末の強制排除があり、5月末の荷物引き取り期限が過ぎ、先行き不透明なままセンターをとりまく状況は硬直状態に陥った感があります。

 「昼回り」や共同炊事が行われたり、団結小屋の寄り合いに集まる人も増えたりと、センター開放の取り組みのほうも定着していっているように見受けられます(一方で、この「騒動」が早く落ち着いてほしいと思っている人もいるでしょう)。

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 「センターの日」も、いったいどう続けていったらいいのか迷いながらやっています。しかし、必ず繰り返されることと、月に一回でも「この場所」を主体的に活用することそのものに宿る力を手繰り寄せたいと思っています。

スペインの時間銀行

 先日、スペインで広がっている時間銀行という取り組みについて聞く機会がありました。市場で流通している貨幣の代わりに用いられる地域通貨は有名ですが、時間銀行では、文字通りある人の時間と時間が交換されます。

 一人一人が自分にできること、誰かにやってもらいたいことを時間単位で出し合い、時間銀行がそれを仲介して、お金に頼らない地域での協力関係を作っていくというものです。

 やってあげる人がいてやってもらう人がいるので、半分の人は最初はマイナスからスタートすることになります。しかし、ある程度のマイナスは問わずに、まずは助け合いの輪を広げていくことを目指します。

 提供されるものに「こうでなければならない」というものはなく、「一緒にお酒を飲んで欲しい」というようなお願いもありです。「こんなニーズがあるのか」と発見していくこと、他人を理解し、自分を理解してもらうことが生活の豊かさを生んでいくのだと思います。

 「こんなことをやってもらいたい」「こんなことならやれる」というアイデアがあれば、聞かせて欲しいと思います。スペインで行われている時間銀行そのままの取り組みというのは難しいかもしれませんが、「センターの日」という場を使って、毎日が楽しくなるようなことを作っていけたら──そんなふうに考えています。

2019年6月23日(日)寄り合い──三たび難波宮跡公園にて

 G20開催直前となった大阪城公園周辺は、警察車両が何台も連なってしょっちゅう通りすぎて行きました。

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 難波宮跡公園東側のフェンスに閉ざされた空き地には警察の人員輸送車や箱トラック、ワゴン車などが何台も停められていました。水場や簡易トイレなども設置されており、ここが警備拠点というより、中継点ないし待機場所という位置付けであるように思われました。

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 街全体が異常な状態になってもいつも通り寄り合いをするのがよろずの信条です。角煮や卵焼き、レバーの野菜炒めにキュウリの酢の物、紅しょうが、そしていつもの炊き込みご飯、Aさんがわざわざ購入してきてくれた焼き餃子など、みんなで美味しくいただきました。

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 あいにくの曇り空でしたが、暑すぎず、快適な天候でごはんを食べることができました。現在は生活保護を受けている仲間がアルコールをたくさん差し入れしてくれました。するとお酒を飲んで盛り上がる一団と、まったりおしゃべりする下戸の人たちとに分かれます。

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 この日はセンター開放闘争にかかわっている人たちも数人来てくれて一緒に楽しい時間を過ごしました。

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 最後に余った食べ物類を持って、いつも夜回りで声かけさせてもらう難波宮公園で野宿する人たちのところに行ってお話を聞かせてもらいました。いつもは荷物だけで会えない人に会えたり、追い出しを迫る張り紙を見せてもらったりできました。

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 寄り合いの最中も大きな音を立てながらヘリコプターが何度も上空を横切って行きました。ここぞとばかりに騒音を立てて通り過ぎる暴走族らしき車両もありました。

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 後日聞くところによれば、G20前後にはあからさまな排除や検閲などもあったようです。また別の機会に聞いた話を書き留めておきたいと思います。

2019年6月20日(木)夜回り・いざトリノへ/第20回「センターの日」を行いました

いざトリノ

 イタリア旅行3日目はいよいよトリノへ向かいます。中部の都市ローマに対し、トリノは北部にあり、アルプス山脈をのぞむ立地です。

 ローマからはイタリアの新幹線で4時間以上かかります。子どもたちが耐えられるのかと心配でしたが、子ども同士わきあいあいと過ごしていました。

 昼食は駅で買ったサンドイッチを車中でいただきました。言葉がわからないので、まだまだおっかなびっくりの買い物です。

 トリノまでの車窓は、なだらかな丘と草原、ところどころ農地という感じで、のどかではあるものの退屈な風景です。華やかなローマに対して田舎や郊外の暮らしはどんなものなのでしょう。

イタリアで活躍する旧友

 予定時刻より少し早く電車が駅に到着して、あわてて降りるとそこはトリノ・ポルタ・スーザという駅でした。スマホを駆使してバス停を調べて移動しながら、トリノで働きながら活動している旧友に連絡を取りました。

 大きな立方体のリュックを背負い、自転車で現れた彼の一言めは「ポルタ・ヌォーバって言ったじゃん!」でした。どうやらわれわれは「大阪駅で降りるつもりで新大阪で降りてしまった」ような形だったようです。

 彼は2007年頃、よろずの活動にも参加してくれていて、数年前からイタリアで活躍しています。イタリア人の女性と結婚してトリノで一緒に暮らしており、メッセンジャーとして稼いでいます。

トリノってどんな街?

 トリノはしっかりした都市計画のもとで作られた街だと彼から教えてもらいました。イタリアを統一した王様がトリノの人だったので、統一直後のイタリアの首都はトリノだったそうです。

 産業振興や教育にも力を入れた偉い人で、フィアットの工場で有名なトリノの基礎を築いたのはこの王様の功績なのだと聞きました。

 トリノの街は5階建てくらいの石造りの古いアパートが整然と建ち並び、アスファルトの部分もありますが、石畳の上を自動車が走っています。

今度の根城

 泊まったのはトリノ中心街にほど近いマリア・ビットーリア通り沿いのアパートをホテルに転用した部屋でした。長期滞在するトリノではきちんとした部屋を借りて、大人の女性三人用に一部屋、大人の男性と子ども部屋として一部屋を当てました。一部屋といっても、前者は1DK、後者は2DKで、廊下にはソファが置いてあるほど、ゆったりした間取りです。

 かつては学生用の安いアパートだったらしく、ここでもやはりジェントリフィケーションがあるようでした。他の階の部屋にはふつうに賃貸で暮らしている人たちがいました。

 イタリアでの三家族第二の我が家をここに定め、トリノでの波乱の日々がはじまったのです(つづく、まだはじまらない)。

第20回「センターの日」を行いました

 毎月第三土曜日に釜ヶ崎のセンターでやっている「センターの日」は20回目となりました。今回は手回しのかき氷機を持参し、立ち寄る人にかき氷を食べてもらいました。

 団結小屋で映画を見るのもそろそろ暑さで無理なのではと思っていましたが、まだ大丈夫そうだったので、『釣りバカ日誌』の第一作目を上映しました。しかし、この日はスピーカーを用意していなかったせいか、人の集まりはもう一つでした。

 「センターの日」をやっていて音というのは場所を作る重要な手段だと気付かされました。その他、定期的に続けられること、同じ場所でやること、そして、見えるようにやることも重要な要素です。

 これらはよろずの活動から学んだことでもあります。路上で、公園で、繰り返し出会うことから、異なる背景や事情を持つ人たちにとって意味のある場所ができていきます。これをこそ「公共空間」と言うのではないでしょうか。

 今月の寄り合いも難波宮跡公園で行う予定です。気軽にお立ち寄り下さい。

 

第20回「センターの日」のお知らせ

センター開放闘争が行われています

 3月31日に閉鎖されようとしたセンターは、反対に集まった人びとによって限定的ながら24時間開放を実現したのもつかのま、機動隊の強襲を受けて強制排除されました。

 現在はシャッターの前に拠点を設け、抗議行動を続けています。この場所に繰り返し訪れることが都市空間の統治に裂け目を作る力になります。「センターの日」をきっかけにお越しください。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター正面付近で、2019年6月15日(土)13時から16時に実施します(毎月第三土曜日)。

 古本放出はとても人気があります。特に読み終えた時代小説を寄付いただけると大変喜ばれます。古本チェーン店では二束三文にしかならない本の有効活用をお考えの方はぜひ「センターの日」にお持ち下さい。

 現在はセンターに図書室が設置されています。本棚はつまっているものの、固い本ばかり残っていて、品揃えに少し難があるようです。古本の寄付をお待ちしています。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです (第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回)。

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カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力いただけると幸いです。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

2019年5月18日(土)第19回「センターの日」──ここからはじめてもらわなければ困る

幸せの黄色いハンカチ

 第19回目の「センターの日」は2019年5月18日に行いました。

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 センター開放行動の団結小屋をお借りして、高倉健倍賞千恵子桃井かおり武田鉄矢が出演する『幸せの黄色いハンカチ』の映画を上映しました。

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 センター閉鎖後はじめての「センターの日」となるので、センター周辺にいる人たちのお話をじっくりお聞きしたいと思い、いつもは14時からやっている映画を15時からにしました。その結果、映画が終わる時間が遅くなり、シェルターの受付時間ギリギリになってやきもきされたことと思います。配慮が足りなかったと反省しました。

センター周辺でお聞きした話

 「昼回り」では、深夜の襲撃についてお聞きしました。周辺で野宿している人たちで協力し、団結小屋にも一声かけて対処したそうです。

 センターが閉鎖された時には現地におらず、自転車を置きっぱなしにしていたという人もおられました(翌日取り戻すことができたとのこと)。萩の森予定地の休憩スペースについてもおたずねしたところ、まだご存知ないようでした。

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 私たちがふだん大阪城公園近辺でやっている夜回りでは「あいりん労働福祉センター」(労働施設部分)の閉鎖にともない、大阪社会医療センターも閉鎖されたと思い込んでいる人と出会いました。

 萩の森予定地の休憩スペースでは、ビラを渡すと「仕方ないやないか。耐震性に問題あるんやから。なんかあったらあんたが金払ってくれるんか?」と厳しい口調でいわれました。 

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 「昼回り」を終えて、テントに戻ると、しばらく遠方の飯場に入っていて、センターが閉鎖されたことは聞いていたが、今日はじめて実際に見て驚いたという人が来ておられました。

 映画も終わって、片付けをしているところに、両手に荷物を抱えた人が来られて、「ここ(釜ヶ崎)に来れば何とかなるって聞いて来たんですけど」と話しかけてこられました。

何が大切なことなのか

 医療センターについてあったように、センター閉鎖にまつわる誤解もあり、解体工事がはじまるまでの2年間だけでなく、建て替え期間もさまざまな問題が起こるであろうことが予想されました。

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 「困ったら釜ヶ崎に行けばなんとかなる」というのは、日本社会がさまざまな問題をいち地域に押しつけていることの裏返しであり、決していいことでないのかもしれません。釜ヶ崎にはさまざまな困難を抱えた人が訪れ、また、現にたくさんの人たちがさまざまな困難を抱えながら暮らしています。

 そういう場所だからこそ、まずは訪れた人を受け入れ、落ち着ける場所が絶対的に必要なのだと思います。そういう場所が日本社会からはどんどん奪われ、都市の中でも潰されていっています。

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 「困っている人」が集まるとそこは「困った場所」に思えるのかもしれません。「困った場所」はないほうがいい」「困っている人はいない方がいい」。そうかもしれません。しかし、まず「困っている」ことを認めてもらえなければ、何もはじまらないように思います。

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 何かがはじまるのはここからだということです。ここからはじめてもらわなければそれこそ「困る」のですから。