大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2018年11月15日(木)哲学読書会再開に向けて

 5月17日を最後に半年近く中断していた哲学読書会を再開しようと、飲み会がてら集まって話し合いました。

 中断しているあいだもKさんとは「最近何読んでる?」と情報交換していました。シュタイナーの『自由の哲学』のあと、『笑い』で触れたベルクソンについて関心が高まっていました。ベルクソンを読みたいという思いは一部であるものの、全員で読むとなると少し難度が高いように思われました。

 そこで、Kさんが図書館で見つけて良さそうだと思った『ベルクソン哲学の遺言』という概説書を取り上げることにしました。ベルクソンは、自分の死後は許可した本以外は絶版にするように徹底して指示する「遺言」を残していました。著者はベルクソン最後の著書である『思想と動き』がまた遺言として読み解けるという視点から、ベルクソンの主要著書と言われる4冊を読み解いていきます。

 まだ日程は決まっていませんが、年明けの再開を念頭に各自読み進めていくことにしました。

2018年12月2日(日)寄り合い──今年も暮れていくと思うにはまだ早い暖かい12月

 12月とは思えない暖かい空気の中で寄り合いを行いました。毎年恒例の「サンタラン」の参加者の姿がちらほら見られました。

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 写真を撮るのを忘れたため、持ち寄りごはんは食べ荒らされたものしか残っていません。今回は全体的におかずがかぶり気味でしたが、煮物のお汁が美味しくいただけました。

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 前回の夜回り辺りから少しずつ倒木の片付けがはじまりました。と言っても、切り刻まれた丸太があちこちに積み重ねられているありさまで、切り株もそのまま残されています。

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 あいかわらずすごい人出で、臨時駐輪場は自転車でいっぱいです。観光客だけでなく、周辺住民の方も多いのでしょうか。

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 11月は寄り合いがなく、12月頭にずれ込みましたが、年末には大阪城公園で年越しそばをやろうという話になりました。「今年も暮れていく」と思うにはまだ早いゆったりした時間を過ごしました。

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2018年11月22日(木)夜回り・人間も動物も落ち着ける公園

 めっきり寒くなりました。イタチごっこからネズミ退治にわたるシリーズを書きはじめたのはちょうど一年前でした。部屋のなかに飼ってもいない獣が出るというのは何とも落ち着かない生活でした。今後、どこかへ引っ越すとしても古い一軒家などはためらわれます。

 ところで、難波宮跡公園のYさんは先日、アライグマを捕まえたそうです。小屋の裏手に出るイタチを捕獲しようと罠を仕掛けたところ、捕まったのはアライグマで、交番に届けたそうです。イタチを捕まえたこともあって、真田山公園に逃がしたところ、現地のイタチとケンカをはじめたとのこと。

 アライグマは大都市では密かに繁殖しているとも聞きます。神戸では山から降りてきたイノシシが住宅地に出ることがあります。最近では大阪城公園のお濠でトライアスロンというおバカな企画があって、ヌートリアも呆れているかもしれません。

 この冬からは、3年にもわたって大阪城ナイトウォークというイルミネーションアトラクションが公園の一部を占拠するそうです。商業施設による大量伐採、台風被害などもあり、大阪城公園の森の野鳥も行き場をなくしてしまいます。人も動物も落ち着けない公園でよろこぶのはどんな人間でしょう。

第13回「センターの日」のお知らせ

労働者の自律空間・釜ヶ崎の「センター」はいま……

 労働者の自律空間である釜ヶ崎の「センター」。こんな場所は日本中探してもここにしかありません。労働者が仕事を探し、知り合いと交流し、緊急避難場所としても日々自由に、当たり前に使っています。

 ところが、この場所が「まちづくり」のうねりの中、仮移転・建て替え計画によって、そのあり方を揺さぶられています。今釜ヶ崎で、今センターで何が起きているのか。それをまさにこのセンターで、センターでしかできないことをしながら労働者との交流から見つけていきたい。それが「センターの日」です。

 「釜ヶ崎ってどんなところ?」「西成特区構想ってどうなの?」「自分たちの生活と何か関係あるの?」──どんな疑問も答えは「そこ」にあるものです。

 知りたい気持ちひとつ胸に「センターの日」にお越し下さい。

場所・日時のご案内

 JR新今宮駅西口から地上に出て、国道の向かいのあいりん総合センター正面付近で、2018年11月17日(土)14時から17時のあいだに実施しています(毎月第三土曜日)。ブルーシートとこたつ、焙煎コーヒーの匂いを目印にお越し下さい。

これまでの「センターの日」

 これまでの報告はこちらです (第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回)。

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2018年11月9日(木)夜回り・終幕のかたち──ネズミ捕獲作戦第二弾

 前回、冷蔵庫の下に潜んでいるネズミを発見し、捕獲作戦を実行したものの、逃げられてしまいました。

 翌週、毒餌の経過を確認しに駆除業者がやってきました。この間にも新たに、洗面台の上の壁に穴を開けようとかじられた壁紙のクズが散乱するという被害が発生してしました。

 「今度はこの辺にいるのかなあ」と様子をうかがっていると、まさにその時、洗面所の木製ラックの裏で「カリカリ」という音がしました。そうそう毎回見つかるとは思っていなかったネズミが見つかり、捕獲作戦第二弾に入ることになりました。

 逃さないように囲いを作っていると、洗面所から廊下を隔てる木戸が削られて木くずが散乱していることに気づきました。「歯を研ぐのに使っているのではないか」とベテラン社員の豆知識。

 準備万端、ネズミの本体を確認しようと慎重に探っていきます。いったん棚の上に逃れていたネズミを見つけ、粘着シートを構えて追い込もうとしますが、間をすり抜けて、今度は洗濯機の中に逃げ込まれました。この洗濯機はすでに、ネズミに配線をかじられて故障し、一度メーカーに修理してもらっています。

 ドラムを回転させたり、乾燥機能を使ったり、スプレーを吹きかけたり、追い出そうと試みますが、ネズミの方も捕まるとわかっていて出てくることもありません。そこでベテラン社員さんのアイデアで、このまま洗濯機を屋外に出して作業をすることになりました。そうすればとりあえず生活空間内での問題は解決です。

 玄関の外の廊下で洗濯機の外装をはがし、少しずつ居所を絞り込んでいきます。もう山は越えたとはいえ、終幕の形が見えない作業が続きます。ネズミの方も状況の変化を察しつつ、逃げ出すタイミングをはかっているはずです。

 とその時、どこからか飛び出したネズミは一目散に駆け抜け、1階エントランスホールへ続く階段を下っていきました。聞けば、階段をぐるぐる降りていく様子が目視できたようです。

 業者の人たちを追ってエントランスホールに行くと、ネズミは壁に立てかけられた板の裏に入り込んでいるとのこと。「このまま捕まえますわ」両側を塞いでしまえば逃げ場はないし、動線も絞られるのですから、後はありません。

 とはいえ実際に捕まえる瞬間には、恐ろしい突進力で逃げのびようとするネズミを粘着シートではたき返し、けたぐって、スマートとはいえない格闘がありました。

 こうして、イタチごっこから始まり、5ヶ月にもわたるネズミとの戦いに終止符が打たれたのでした(次回後日談?)。

2018年10月22日(土)第12回「センターの日」──未来を語るのもいいけれど

いつもの焙煎と古本放出

 涼しくなってきたこともあってか、コーヒーは5回焙煎して、前回を上回る方に飲んでいただきました。長い列を見て、リピーターと思われる方の「ここのコーヒーは時間がかかるのがなあ……。でもうまいけどな!」というひと言が笑いを誘いました。

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 この日は「焙煎をしたい」といって北九州市から知り合いが駆けつけてくれたり、ある大学の先生に連れられて学生さんが参加してくれたりしました。

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 古本の放出も好評で、「この本は出ないだろう」と思っていた『ギリシャ悲劇』4巻本と『論語』を見つけてよろこんで持っていかれた方もおられました。「読書の秋」でもなくなっていきますが、古本の放出はもう少し続けてみようと思います。

「いつまで続けるの?」

 ビラを片手にお休みのところにお邪魔してお話も聞かせていただいています。「若い人が来てなんかやってくれるのはええとと思うわ」「けど、あんたらのこういう取り組みがどういうものかがはっきりするのは3月に閉鎖された後ちゃうか? 」とある人の言葉。

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「センターが閉鎖されることについてあれこれ考えても仕方がない。それよりも5月の10連休をどうするかをみんな気にしている。特掃もなくなるだろうから、そのあいだどうやって食いつないでいけばいいのか。本当はどこかの運動団体がそういうことを言っていってくれんとあかんわ」

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「そういう意味でも3月以降あなたらがどうするかが見られる。そのあとどうするかじゃないんかなあ」

繰り返される言葉

 「閉鎖されて追い出されてもこっちが悪いんやからどうしようもない」という言葉もよく聞きます。こんな生活してきてこんな状態になっただけで、自分たちが悪いのだと。

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 シェルターから出された後、寒い時期は禁酒の館も早くから開けてくれるけど、禁酒の館にずっといるのも気づまりです。「そういうのが嫌な人もおるよ、わしらみたいにそういうのが嫌な人間はここにおるわ」。

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 センターが閉鎖されれば困るのは当たり前。しかし、悪いのは自分たちだからと、いわゆる世間のまなざしというものはあるでしょうが、それが繰り返し労働者の口から出るのは自分で自分を呪詛しているようです。

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 この「呪い」は社会全体にうっすらとはびこっていて、首を絞める呪いを作動させる呪文を当の本人が唱えさせられているというふうに、ねじれたことになっているように思われました。

未来を語るのもいいけれど

 西成特区構想のまちづくりの中では、さまざまな未来像が語られます。それは大切なことかもしれません。しかし、釜ヶ崎の労働者は一日一日を乗り越えていく現在を生きています。

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 センターがなくなると困る。明日からでも困るのだから、「今のままのセンターを残してくれ」というが労働者の切実な願いではないでしょうか。

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 未来のことを語り、参加することを強いる人びと、参加を強いられる人びともまた呪われているように感じられます。

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 現在を理解して認めてくれない未来の構想に私たちの居場所があるのでしょうか。

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「どこ行けいうんや!」「ここに居させろ!」

それだけでも十分に尊重されるべき意見であるはずです。

カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力いただけると幸いです。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会、「センターの日」などの活動も行っています。

郵便振替

記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

郵貯以外からの振り込みの場合
店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

2018年10月25日(木)夜回り・秋の運動会シーズンに思う

 こんばんわ。よろず相談です。

 秋といえば運動会ですが、先日の夜回りで、昨今の運動会について話題になりました。

 最近は春にやるらしいな、とか、弁当は親と食べられないらしいな、とか。

 それでもまだ、運動会の話をすればジェネレーションギャップもあるにはあるものの、毎年のように日本全国で行われ、地域を賑わしています。私は団塊ジュニアで、アラフォー(もはやアラフィフ)ですが、昔と今とで変わったといえば、とにかく子どもの人数です。

 少子高齢化と言われて久しいですが、今や学年ひとクラスはあたりまえで、全校生徒100人足らずという学校もめずらしくありません。ひと学年20人しかいない学年もあります。すると、とにかく運動会が寂しいのにはびっくりします。特に騎馬戦が6騎ぐらいしかないので、団体戦でも3対3であっけなく終わってしまい、盛り上がる間もありません。応援合戦も少人数なので迫力がいまひとつ↷。

 そうそう、数年前にケガが多発していると組体操が社会問題になり、人間ピラミッドの高さを制限するようになったのは記憶に新しいですね。高度な技を追求せず、チームワークと芸術性を重視した演出に先生の工夫が忍ばれます。徒競走では男女混合で走ってる、昔からこうだっけ?と思うこともあり、また学校によりけりでしょうが、昔ながらに親戚一同レジャーシートに重箱並べて盛り上がっているファミリーもいます。ソフトヤンキーという種族が、最もイケてる感じで、ちょっとしたキャンプ用品一式揃えてグラサン掛けて、子どもに声援を送ってるわけですが、これがまた大阪!「飛龍!いてかましたれやっー!!」・・・別にええねんけどね、、。

 いまだに違和感を感じるのは、ビデオ席というやつです。保護者のためのビデオ席が用意され、自分の子どもの出番になると、ズラ〜っと、親がビデオを構えて並んで、これがなんだかバカげた感じがしてしまいます。社会の秩序ってそんなに? 我が子撮りたさに、目がギラギラした親が整列した集団の方が逆にすごいドキュメンタリーやけど…。

 子供の頃は運動会の練習がとにかく、いやでした。特に行進の練習など、指先までピシッとのばさんか!とか、先生たちの激烈な指導には内心やれやれでした。
まあそんなこんなで、みなさんも運動会といえば遠い昔の思い出があるかもしれませんね。

 年をとってくると涙もろくなるといいますが、確かに今年は運動会の雰囲気の中にいるだけで、胸がいっぱいになってしまいました。なんでやろーね?

 秋の深まりにともなって寒暖差が大きいので、風邪を引かないように気をつけましょう。また、冬に備えてしっかり栄養をつけときましょう!