大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2017年11月12日(日)寄り合い──「見守りカメラ」って何?

 10月28日(日)に予定していた寄り合いが、台風通過のタイミングと重なったため中止となりました。多少の雨風はタープテントでしのいで実行しようと様子見をしていましたが、何も警報が出ているような荒天でやることはないと中止にしました。中止の告知をする頃には、大阪城公園のみんなも台風から逃れるためにすでに避難しているようでした。

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 約2ヶ月ぶりの寄り合いは、ふだんより参加者が多く、かつてよろずの主要メンバーとして活躍していたGさんも顔を見せてくれて、大変な賑わいとなりました。

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 9月の寄り合いの翌日に救急搬送されて、入院生活を続けながら生活保護の手続きを進めているMさんも、外出して参加してくれました。

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 寄り合いでは、12月3日(日)に予定している恒例の交流ソフトボール大会のほか、11月18日(土)に計画中の「センターの日」について打ち合わせしました。

 いつもなら15時過ぎにお開きになる寄り合いが、この日は17時過ぎまで続きました。

 東屋跡のアスファルトの広場では、一輪車のチームが練習をしていました。市民の森の真ん中の通りでは、やはりいつもの拳法(?)のグループが練習していました。公園の風景は公園に集う人たちが作るもので、市民の生活の一部なのだと思います。

 公園の風景は少しずつ変わっていきます。樹木や建造物の有無が、その変化を水路づけるようなところがあります。東屋が撤去された跡に設えられた無骨なアスファルトも、一輪車の練習をするには最適なスポットかもしれません。

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 東屋の撤去の口実とされた新設トイレには監視カメラが付けられています。この監視カメラは「見守りカメラ」などとアピールされていました。公園のトイレに監視カメラがあることを疑問視する利用者の声に対抗したのか、それとも「ここに監視カメラがある」とまさに脅すためなのでしょうか。

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 トイレが新設された当初には監視カメラなどなく、2017年5月頃に設置されたことを記録しています。この時点ではもちろん「見守りカメラ」の掲示はありません。また、監視カメラを管理しているのはパークセンターではなく、公園事務所のようです。

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 公園内の壊れた設備は放置されているのに監視カメラの整備には余念のない「公園管理者」たちに、はたして市民の顔が見えているのでしょうか。

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 いつもお世話になっているHさんから多額のカンパをいただきました。ありがとうございました。

カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力いただけると幸いです。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会などの活動も行っています。

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2017年11月9日(木)夜回り・これが本当のイタチごっこ!

 野宿生活で、アリやムカデ、蚊などに悩まされる話をお聞きします。珍しいものでは川ガニ、お濠に生息するヌートリアには名前をつけて可愛がっている強者もおられます。うちはマンションの4階なのですが、最近イタチに悩まされています。

 エアコンの配管を通すために開けられた穴を広げて室内に出入りし、食べ物を食い荒らしています。昼間や室内に誰かいる時は天井裏に引っ込んでいて、駈けまわる音がします。一度プラスチックのケースで穴を塞いでみたところ、ケースには歯が立たないものの、石膏ボードそのものを食い破って侵入してきました。

 穴を観察してみると、どうやら配管の通っている壁のところだけコンクリートがしっかり打たれておらず、そこが天井裏とつながっているようです。天井裏につながる隙間はそんなに大きくないのでペットボトルを潰して詰めてみました。簡単には食い破れないものの、ペットボトルをかじるカリカリという音が一晩中聞こえます。アルミ缶を潰したものと入れ替えてみたところ、ようやくあきらめた(?)ようです。「イタチごっこ」の意味が身にしみた出来事でした(やれやれ……)。

2017年11月1日(水)第12回哲学読書会『笑い』(2)

honto.jp

 前回に引き続き、平凡社ライブラリー版のベルクソン「笑い」に併録されたフロイト「不気味なもの」とジリボン「不気味な笑い」を読みました。

 このような取り合わせでの訳出となったのは、無名なジリボンの論考を訳者がたまたま見出したためだそうです。ジリボンは、ベルクソンの「笑い」とフロイトの「不気味なもの」を照合しながら、ベルクソンの思想を「枠」という観点から読み解いています。

 ベルクソンの論考もフロイトの論考も、実際の悲劇や喜劇を題材に組み立てられているため、それらの作品を知らない者には十分な理解が難しいように思われました。それでも興味深いのは、ベルクソンが「笑い」の生起するメカニズムとその社会的機能に着目している点でした。続いてフロイトを読むと、面白いことに、人が「不気味さ」を感じる状況は、「笑い」が生じる場合といくつかの共通点を持っていることがわかります。

 同じパターンをたどりながら、一方で「笑い」が起こるのに、もう一方で「不気味さ」を抱かされるのは何故なのか。認識主体の立ち位置と、その事態を取り巻くパターン(枠)が見えているかいないかが分かれ目であるようです。このように考えると別段難しいことを言っているわけではなく、ジリボンの書き方はわざとわかりにくくしてあるだけのように思われます。

 ついつい単純化してとらえてしまいそうになるところで、Kさんがさらにこだわって考えを述べてくれます。「笑い」は、単に状況から距離をおいた客観的な認識から起こるのではなく、広く共有される感情であり、それが一瞬「枠」の揺らぎによって「不気味さ」に変わりそうになったところで、再び「笑い」に戻る円環に意味があるのではないか。一方フロイトの「不気味さ」は円環をなさない一義的な考察に終わっている。

 ニーチェが「笑い」や身体的なことを肯定的にとらえていたように、「笑い」にも実在に触れるための芸術性が見出されているはずです。悲劇において抱かれる感情は一点に凝集していくのに対し、喜劇で共有される「笑い」は凝集したものを拡散するものです。それゆえ芸術性の低いものと思われがちなのですが、拡散するものでありながら、共有される範囲はもっとも広い感情かもしれません。ジリボンはベイトソンダブルバインドの事例を引きながら、「あそび」と「ふり」という視点を提示します。「あそび」と「ふり」が成立する兆しがどこかにあるはずだが、それは見えにくい。しかし、「笑い」はそこに何らかの兆しがあることを示唆します。「笑い」には、モノとしては見えない実在の姿を、コトとしてとらえる行為なのではないでしょうか。

 正直わからない部分は多いものの、ベルクソンの奥深さが感じられたり、名前は知っていてもなかなか読む機会のないフロイトの思想に触れられたりと、面白い一冊の経験となりました。

 読書会後の交流では、Kさんがもともとお寺の子どもで、仏教を理解したいという動機から西洋哲学にも触れだしたのだというお話も聴きました。Kさんは現在、仲間と2人で週1回ペースで『十牛図』という禅の解説書を読み込んでいるとのことです。

 次回は、悲劇と対比される喜劇を主題としつつ、ニーチェが想起されたこともふまえて、ニーチェの『悲劇の誕生』を読んでみることにしました。

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2017年10月26日(木)夜回り・大阪城公園よろず相談瓦版

 こんばんは。大阪城公園よろず相談です。長い秋雨があり、台風21号が上陸し、大阪も大変な雨と風でした。大和川が氾濫しました。台風上陸の真っただ中、衆議院選挙も行われ、選挙と台風の速報と警報でメディアは大忙しだったようです。
 今回は南の大和川でしたが、大阪城公園も寝屋川が流れていますし、夜回りのときに、豪雨の際は、寝屋川の水位がみるみるうちに上がって、大慌てで避難した、という話も聞きます。
 大阪はもともとほとんどが内海で、大和川が繰り返す氾濫のために土砂が流れて湿地が広がり、数々の歴史的な治水工事を経て今の大阪になったとのことです。上町といえばええとこ、というのも川が多く、洪水が多かったゆえんでしょうか。

緊急告知!!ーー恒例名古屋VS大阪
 ソフトボール大会開催近づく。今回は大阪城公園の野球場がとれず、西成公園でやります! 有志求む。

2017年10月12日(木)夜回り・大阪城公園よろず相談瓦版

 11日午後5時20分頃に沖縄県東村高江で米軍のヘリコプターが墜落し、炎上しました。ところが、本土のマスコミは「不時着」と伝えています。昨年12月に名護市沖に墜落したオスプレイのことも、本土では「不時着」と伝えられました。現場の写真や現地マスコミの報道を見ても、墜落であるのは明らかです。

 今回ヘリが墜落した東村高江は『標的の村』という映画で知られています。反対運動も虚しく村の集落を取り囲むようにヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)が作られました。米軍が訓練をする際、本物の人家を「標的」にする方が「やりやすいから」です。

 映画では、オスプレイ配備に反対して普天間基地のゲート前に座り込む沖縄県民が、警察に強制排除される場面も出てきます。これは過去に大阪で起きた行政代執行によるテント村の強制撤去にそっくりでした。

 野宿者にしか向けられない暴力が沖縄では一般市民にも向けられるのでしょうか。それとも、沖縄では一般市民に向けられる暴力が本土ではさしあたり野宿者にしか向けられていないのでしょうか。しかし、どちらも普通の人たちに向けられた暴力にほかなりません。当事者ならぬマスコミもまた、中立をかくれみのに暴力をふるう側を守っているようです。

2017年9月28日(木)夜回り・大阪城公園よろず相談瓦版

 9月16日から17日にかけて「全国地域・寄せ場交流会」が京都の左京区の山の上の関西セミナーハウスというところで行われました。

 毎年各地で開かれている交流会で、野宿や貧困の問題に取り組む全国の人が集まります。もちろん当事者もたくさん来ています。去年からソフトボール大会で交流を続けている名古屋勢とも会うことができました。次回は12月3日(まだ予定)大阪で!!と宣戦布告をしてきましたよ!

 今年は大阪から、長居公園扇町公園大阪城公園の3公園で夜回りなどの活動をしているグループのメンバーでアルミ缶回収規制条例について話し合う部会を持ちました。大阪城からも現役でアルミ缶回収をしている方を半ばむりやり誘って、発言していただきました。
 印象的だったのは、京都では2010年に反対の声をあげたけれども、条例化されてしまった。その時に正業を失った人たちに対して施設などを経由しなくても生活保護を受けられるようにしたそうです。そのために多くの人がテントや小屋をたたんで畳にあがったということです。食い扶持を奪われたために、自力での暮らしが成り立たなくなり、生活保護を受ける決断をせざるを得なかったということでした。この話は、大阪でテントを排除するときとよく似ていると思いました。

 また、今日までは日常的な営みであったアルミ缶を集めて売って食べ物やお酒、たばこを買う、といった行動が条例ができた時から犯罪として見られるようになってしまうという問題もあります。その辺の住民が集めている人を見て快く思わなかった場合に警察に通報したりして、トラブルになったりなどもあるそうです。しかし、寿の労働組合の人は、条例ができたときは一時厳しくなるが、そのうちなんとなく落ち着いてくる……と言っていました。条例ができた地域でもアルミ缶を集めている人はいなくなっていないということでした。アルミ缶を集める人が野宿の人だけでなく低所得者層にまで広がり、生きていくための手段として行われている以上、しかもゴミの分別というリサイクルに役立っているという側面もあるわけですから、そこまで目くじらを立てなくても……と、落ち着いて考えてみたら落ち着くのでしょう。

 ただ、条例は全国に広がっており、大阪でも勢いづいています。古紙についてすでに可決され、10月から施行されます。なにかあれば情報交換していきましょう。

 

2017年9月23日(土・祝)寄り合い──秋の持ち寄りごはん

 今月は日曜日によろずメンバーの都合がつかなかったため、23日(土)、秋分の日に寄り合いを持ちました。特に秋の味覚というわけではありませんが、いつもの持ち寄りごはんです。

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 全体的に色味が茶色っぽいですが、右上の丸い器はゴーヤとじゃこを煮たもので、苦味と旨みがマッチしていました。

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 レタスの入った焼きそばは美味しいです。レタスが余った際にはぜひ焼きそばを。

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 真っ赤なキムチにご注目下さい。大阪城公園のSさんと交流のあるキムチギャラリーの社長さんが、商品のキムチをたくさん差し入れして下さいました。

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 このキムチがとても美味しくて、「辛すぎる一歩手前の絶妙な美味さ」とでも申しましょうか、キムチだけがおかずでもご飯が進んでしまいそうです。

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 この日は、これまたSさんの知人である詩人の里みちこさんが、お友だちを連れて市民の森にいらっしゃって、よろずのメンバーもしばし歓談に加えていただきました。

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 野宿者がいる公園は、どんな人でも受け入れる懐の深さを持った公園です。そんな公園だからこそ、地域や職場、学校では得られない出会いがあるのです。

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 森ノ宮駅側入口の水路は、水を抜かれてもう丸2年になろうとしています。この間、無粋な看板が景観を損ねていただけです。大阪城パークマネジメント事業は金儲けの口実に過ぎないことがみて取れます。

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 管理主義と商業主義が手を握って私たちの生きる場所を狭めていることに気づいて欲しいと思います。この世界にムダなものなどなく、「ムダなもの」を作り出す仕組みがあるだけです。

里みちこ メメント・森の言の葉展

 2017年10月17日(火)〜11月12日(日)に京都市で開催される里さんの展示会のご案内をいただきました。ご本人による詩がたりも予定されているようです。以下に詳細を掲載いたします。

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