大阪城公園よろず相談

大阪城公園を中心に野宿者支援活動を続けている大阪城公園よろず相談のブログです。

2017年8月20日(日)寄り合い──夏の終わりの大阪城公園から見えるもの

 いつもの、というには企画ものが多くて、むしろ頻度が減っているように思えますが、今回の寄り合いはいつもの持ち寄りご飯でした。

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 相変わらず暑い夏の気候ですが、空気は生暖かく、移り変わりを感じます。木陰の日差しの明るさが写真から伝わるでしょうか。

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 このパスタは味付けがはっきりしていて好評でした。

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 事前に打ち合わせなしで思い思いのおかずを持ち寄るわりに、これはあかんということはありません。きゅうりの和え物も美味しかった。

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 大阪城公園のAさんが用意してくれるウィンナーや卵焼き、よろずのKさんが毎回仕込んできてくれる炊き込みごはんも寄り合いに欠かせません。

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 Kさんは食後のお茶のために、お湯を入れたポットも毎回持ってきてくれます(重たいものばかり、いつもありがとう!)。

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 あっという間に食べ終わってしまいますが、いくつものグループに分かれ、行き来しながら15時過ぎまでおしゃべりが続きます。デザートの梨も気が利いています。

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 大阪城公園のKさん、前回から参加してくれている西区のSさんたちから、野宿をしている際の「虫害」事情をお聞きしました。蚊はもちろんですが、ムカデやアリ、なめくじなどに悩まされます。Sさんの寝ているところには、川ガニが出るそうで、大きな川ガニは剥がそうとしても剥がれないのだとか。

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 Kさんはムカデが寄ってこないように、自分が寝ているベンチの周りを掃き清め、薬剤も用いて、駆除に成功したそうです。地肌がきれいに見えるベンチ周りをご覧ください。

 大阪城公園は相変わらずの賑わいで、東屋跡に敷かれたアスファルトの空き地は、ジョギンググループの集合場所になっています。細かな変化、大きな変化、見えやすい変化、見えにくい変化があります。

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 ジュースの自動販売機を見ると、多国語による品書きがあることに気づきました。

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 遊園地の安いアトラクションのような音楽と、まがい物の汽笛を大音量で響かせてロードトレインが走り去ります。

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 公園のあちこちにコンビニができたせいで、トラックがわがもの顔で通り過ぎていきます。こういった風景を、当たり前だと、慣れてはいけないと思います。きらびやかに飾り立てられたものの熱気に浮かされているうちに、記憶までなくしてしまいます。

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 たそがれコンサートは、夏の風物詩となっています。この会場となっている大阪城音楽堂と、その向かいにある大阪城パークセンターの事務所が入っている建物を潰して、何かを作る計画があることを小耳に挟みました。

 現在もたそがれコンサートで活躍するシオン(元大阪市音楽団)の拠点が大阪城公園にあったことも忘れられていくのでしょう。思い出や記憶は場所とともに受け継がれていきます。お金に変えてしまえば、そこから生まれてくるものは、その場限りの熱狂になってしまうでしょう。

カンパのお願い

 大阪城公園よろず相談の活動に賛同いただける方はカンパにご協力いただけると幸いです。以下の口座まで振り込みをお願いします。活動に関心のある方は一声おかけ下さい。夜回りや寄り合いのほか、哲学読書会やソフトボール大会などの活動も行っています。

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記号14080
番号32204771
大阪城公園よろず相談

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店名 四〇八(ヨンゼロハチ)
店番 408
預金種目 普通預金
口座番号 3220477

 

 

2017年7月23日(日)寄り合い──そうめん大会

 この日の寄り合いは毎年恒例のそうめん大会となりました。

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 ジップロックに水を入れて冷蔵庫で凍らせた氷をたらいに入れます。

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 安いそうめんは美味しくないので、よろずのそうめん大会では揖保乃糸クラスのそうめんを用意することにしています。

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 みんなで持ち寄った薬味類です。

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 かぶることを恐れ、過剰に忖度しあった結果、ネギがありませんでした。美味しくいただきました。明太子が人気ありました。塩もみきゅうりもネギ不在の状況でか、よく売れました。

 この日は、Kさんが図書館で知り合った、西区で野宿しているという方を連れてきてくれました。Kさんに勧められて哲学書に手を出してしまったそうなので、いずれ哲学読書会の方にもご参加いただけるとうれしいです。

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 あいかわらず壊れたインフラは放置されたままです。このまま再開発を待つつもりでしょうか。

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 太陽の広場に開設された夏期限定のスライダープールは前年以上の力の入れようです。夜回りをしていると、会場内でライブが開催され、21時ごろまで営業されているようです。

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 プールの裏は大きな水溜りができてグチャグチャです。

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 スライダープール会場を離れると静かな公園で、夏の夜に作られた商業施設が異様なものに思えます。公園にまで騒々しい施設が作られてしまっては、憩いの場をどこに求められばいいのでしょうか。

2017年7月1日(土)第9回哲学読書会『アリストテレス 哲学のすすめ』

 

 今回の哲学読書会は揚羽屋で18時から行いました。Sさんは日程を勘違いしていて、連絡を取ったところすでに寝る準備までしていたということで、不参加となり、4人で開催しました。

 この本はアリストテレスの公開的著作、つまり、当時出版されたものなのだそうです。現在まで残っているアリストテレスの著作のほとんどは、本人が残した自分用のノートのようなもので、公開的著作はほとんどないということらしいです。この本にしても、さまざまな手段で復元したものなのだそうです。

 この本を読むと、アリストテレスが哲学を当たり前の知的実践として当時の人々に勧めようとしていたことがわかります。人間は考えようとする生き物であり、生きることすなわち哲学なのだとアリストテレスは考えていたのではないかと思いました。

 揚羽屋の調理人であり、哲学読書会のメンバーでもあるUさんが腕をふるって、ふだんなかなか味わえない美味しい食事を用意してくれました。

 哲学読書会は当初、日曜午前中10時というセッティングではじまりました。前回オシテルヤ本館で夕方からの開催になりましたが、Kさんは前々から、読書会の後にくだけた話をする時間を持ちたいと思っていたそうです。

 この一年で読んだ本がニーチェツァラトゥストラかく語りき』、プラトンプロタゴラス』、プラトン『テアイテトス』、デカルト方法序説』、アリストテレス形而上学 上』、コンディヤック『論理学』、アリストテレス『哲学のすすめ』の7冊です。初回は本を決めただけでしたし、『ツァラトゥストラ』に4回かけていたので、二期目はさらに多くの哲学書に触れることができそうです。

 これまで読んできた中の空白を埋めていこうということで、次回は、ルソーの『孤独な散歩者の夢想』(光文社古典新訳文庫)にしました。いろんな出版社から訳が出ていますが、中山元さんの解説で買いとしました。


 

2017年6月4日(日)寄り合い――難波宮跡公園で初開催!

 いつもは大阪城公園市民の森にて行っている寄り合いを、初めて難波宮跡公園で行いました。

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 難波宮跡公園では、ボール遊びをするファミリー、コンパをやっている学生など、思い思いに休日を楽しんでいました。野宿をしている人もいて、声をかけさせてもらいましたが、すでに自分で食事を済ませておられました。

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 こんな具合に、だだっ広くて、何もなく、自由に過ごせる場所というのは、大阪にはもうあまり残されていません。警備員もまわってきませんし、ぼやっと過ごすのにお金も必要ありません。

 大阪城公園駅までは、ジョー・テラスが着々と工事を進めており、グローバリゼーションの象徴ともいえるスターバックスがいよいよ公園に進出、市民の財産である公園を占有して、商売を始めます。

 公園は、都市であくせく暮らす私たちが消費生活から束の間解放され、様々な人々がそれぞれの生活に応じたやり方で過ごせる場所であればいいのです。お互いにいがみ合うことなく、多少は譲り合いながら、私有地の呪縛から離れて、自分の精神や肉体にとって必要なだけの広さを占有して、他人の息づかいも感じつつ、休息する。

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 ところがそこに、企業が乗り込んできて、料金表が貼られる。値段の高いものはおいしいのではないか、よっぽど楽しいのではないかと思わされる。休息中にむやみに欲望を掻き立てられたくない!――ではありませんか?

 人間は生きている以上、宙に浮いているわけにはいかないのです。万人が、安心して地面に肉体を置いておく場所を、確保しないなんて、あまりに人間を疎外したやり方ではありませんか? 

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 飲みたくもないコーヒーに金を払って飲んでいるふりをしないと、そこにいてはいけないなんて! 都市において、公園は人間性を回復するための砦なのです!

 なぁにがトライアスロン大会だ~~!! まずたたずむこと、腰掛けること、体を横たえることを保証しろ!! 雨が降ったら雨宿りする場所を作れ~! 炎天下で休める日陰を作れ~!

(2017年6月8日(木)の夜回りのビラから再構成しました)

2017年5月9日(火)第9回哲学読書会──コンディヤック『論理学──考える技術の初歩』

 第9回哲学読書会は、場所と時間を変え、夕方6時よりオシテルヤ本館で行いました。参加者はSさん、Kさんを含む5人でした。

 コンディヤックの『論理学』はもともと教科書として用いられることを念頭に書かれたというだけあって、わかりやすい本でした。イギリス発の経験論を、フランス人であるコンディヤックが解説し直しているという点でも、いろいろ考えさせられるところがありました。

 これまでもKさんが「大陸合理論とイギリス経験論を両方押さえておく必要がある」と言っていました。ようやく経験論を読むにいたって、なるほどこれはこれまで読んできたものとは全く違うなと思いました。タイトルに「論理学」とついているので、難しい理論的な話が出てくるように思われますが、実際は実用的な分析の指南書という感じで、いちいちなるほどと納得のいくものでした。どことなくデカルトの『方法序説』も連想されて、つまるところ、この世界をどのように理解していくかを確かにしようとする基盤に論理学があるのだとわかりました。

 個人的にはプラグマティズムとの類似が意識され、こういった思考法がイギリスやアメリカで発展したというのはどういうことなのかと考えると、神様との距離感なのではないかと考えました。『方法序説』の中でデカルトは神様を貶めずに、しかし、神学と切り離した科学的な方法を、慎重に模索していました。コンディヤックの『論理学』にも神様は出てきますが、扱い方がずいぶんソフトになっています。

 コンディヤックはフランスにもイギリス経験論を取り込む必要があると考えてこのような本を書いたのだといいます。デカルトのように限定に限定を重ねて、厳密に議論を積み上げていくやり方だと、科学的な確かさは強固になっても、手間と時間がかかりすぎるように思われます。その点、経験論だと、検証はほどほどに確かめながら、議論を次の段階に進めることができます。

 イギリスは、自分が離婚したいがために王様が自分の教会を作ってしまうような場所です。神様との距離を取りやすい思想的な下地が作られていたのだとすれば、神様を気にせずに済んだために、実用的な経験論を発展させられたのではないでしょうか。そして、この実用的な思想が、産業革命を引き起こすような科学的な技術革新を生んだのだと考えると、つじつまが合います。

 デカルトコンディヤックの両著にある140年の出版年の開きが、フランスにおける神様の地位の変化を内包していると考えると、人間の思想的格闘の積み重ねの偉大さが感じられるようです。

 これまでは日曜日の午前10時から12時に開催してきた哲学読書会を、平日の夕方にしたのは、参加のしやすさを考慮したこともありますが、読書会の後にゆっくりおしゃべりしたいという話が出たためでした。読書会のあと、オシテルヤの職員のHさんが作ってくださった雑炊と牛皿をおいしくいただき、夜遅くまで語り明かしました。

 次回は、Kさんの薦めで、アリストテレスの『哲学のすすめ』を読むことにしました。これは、本文は短く、解説が充実した本なので、アリストテレスギリシャ哲学を総合的に知るのにちょうど良さそうです。

2017年5月14日(日)寄り合い──久しぶりに持ちよりご飯

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 今回の寄り合いは久しぶりに持ちよりご飯の形式で行いました。5月4日は名古屋のソフトボール大会に参加し、9日は哲学読書会と、気づけばよろず尽くしの5月になっていました。

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 今年はよろずから生活保護の申請をしたり、家を借りたり、難波宮跡公園からよろずを紹介されたりと、新しい人たちとの出会いが増えています。今回の寄り合いも、花見の時に参加してくれたという人や、最近市民の森で野宿しているという人が参加してくれました。

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 もともとは東屋で野宿していたみんなが、困っている人を見かけたら声をかけて教えてくれたり、誘ってくれたりしてくれるようになって、自然な形で関係を持てる雰囲気ができてきているようです。

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 公共空間の商業化の波は、大阪城公園を中心にますます強まり、難波宮跡公園など、周辺にも波及していく様子を、日々の活動の中で目にします。野宿している人たちも、私たち以上に敏感に変化を察知し、状況を分析しています。野宿をしている人たちだけの問題ではなく、私たちだけの問題でもないといった理解を自然な形で共有し、定着させていく道を探りたいと思います。

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 次回の寄り合いは、夜回りで定期的な交流が持てていることだし、一度試しに難波宮跡公園でやってみようかと話しています。

大阪観光「夜も来てや」 官民で大阪城周辺に新劇場

 買い物や食事が中心だった大阪観光に新たな魅力を加えようという試みが動き出す。官民ファンドのクールジャパン機構が吉本興業など12社と組み、伝統芸能などを夜まで上演する劇場を大阪城の周辺に新設することが明らかになった。インバウンド(訪日外国人)客の関心がモノからコトに移るなか「夜輝く大阪」を官民でアピールする。

 「年250万人が訪れる大阪城に(これまで足りなかった)エンターテインメント性が増し(観光資源として)鬼に金棒となる」。吉村洋文・大阪市長は13日の定例会見で期待を語った。

 新劇場には電通エイチ・アイ・エス(HIS)、在阪民放5局、KADOKAWAやファミマ・ドット・コムも参画。20億円超を投じ、複数の劇場や屋外ステージの2018年春までの開業を目指す。落語や歌舞伎のほか、音や光、映像を駆使した殺陣や忍者のパフォーマンスも披露する。

 大阪城周辺は重要な史跡が多く、飲食施設や娯楽施設の開発が抑えられてきた。だが市は「(大阪城周辺に)100ヘクタールもあるのに何もしないのはもったいない」(吉村市長)と観光振興への活用を歓迎する姿勢を示す。

 今秋には天守閣そばの歴史的建造物を改装した飲食・物販施設「ミライザ大阪城」が開業する。2.3階、屋上に入るレストランは夜10時半まで営業する予定。天守閣を眺めながら料理やアルコールを楽しめる。

 これらに新劇場が加われば大阪城の魅力は増す。13日、台湾から家族3人で大阪城公園を訪れた45歳女性は「夜のミュージカルもあれば出かけたい」と語った。

 観光の全体的な厚みが増すとの期待も高まる。大阪観光局の溝畑宏局長は「大阪は(訪日客向けの)ナイトエンターテインメントに欠け、夜9時以降の消費が減る」と夜の魅力向上が課題と指摘。観光局は昨年に英文冊子を作り、立ち飲みの居酒屋、夜に営業している観覧車などを紹介した。

 府・市が昨年11月にまとめた都市戦略でも「24時間おもてなし都市」を掲げ、観光施設の営業時間やランドマークのライトアップ時間の延長に官民で取り組むとした。夜も楽しめる観光地づくりをテコに、20年の来阪外国人の旅行消費額を1兆1900億円と15年の5781億円から倍増させる目標を打ち出した。

 夜間営業も想定する新劇場はこうしたニーズに合致する。新劇場ができれば昼はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、夜は芸能鑑賞という楽しみ方が広がり、滞在日数と消費額の拡大につながる。府・市が進めるカジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致を控え、夜の娯楽充実に一歩前進しそうだ。

 吉本興業の戸田義人取締役も「夜遅くまで楽しみたいという訪日客のニーズに応えられる環境をつくりたい」と述べた。もっとも場所を含め新劇場の詳細は未定。人形浄瑠璃文楽の語り手の最高格である切場語りの豊竹咲太夫さん(72)は「基本的には結構な話だが、実際問題としてスケジュールが割けるか、充実した内容にできるかなど課題も多い」と指摘する。

 2017年4月14日 日本経済新聞